中東やウクライナの情勢を受け、紅海やシベリア上空を通航できなくなった日本や欧州の会社に対し、最短距離を選択できる中国の航空や海運会社が優位に立っていることが分かりました。

 ヨーロッパとアジアを結ぶ船の輸送ルートは、これまではエジプトのスエズ運河を通り、紅海を航行するルートが最短、最速でしたが、武装派組織フーシ派による攻撃や乗っ取りが相次いだことで、日本やヨーロッパの海運会社はアフリカの最南端・喜望峰を迂回するルートを余儀なくされています。

 このため、輸送にかかる時間や燃料コストも大幅に増えています。

 一方、中国の貨物船はフーシ派の標的になっておらず、従来のルートで荷物を運べるため、最近、中国の貨物船を利用する荷主が増えています。

 イギリスの海運情報会社「ロイズ・リスト・インテリジェンス」によりますと、今年1月に紅海を通航した貨物船のうち、中国船の割合は去年12月が15%前後だったのに対し、28%にまで増えたということです。

 また、空の便でも日本やヨーロッパの航空会社はロシアのウクライナ侵攻以降、シベリア上空を通過できず、北極圏や中央アジアなどを大きく迂回(うかい)するため飛行時間が2時間余り、余計にかかっています。

 これに対し、中国の航空会社はシベリア上空を最短距離で飛行できることから、航空運賃の競争においても優位に立っていることが浮き彫りになっています。

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