英南部の世界遺産ストーンヘンジで夏至の日の出を祝う人々=2023年6月21日午前5時12分、篠田航一撮影

 英南部ウィルトシャー州の世界遺産「ストーンヘンジ」の巨石の一つが、約750キロ離れた北部スコットランドから運ばれたとの新説が浮上している。豪カーティン大や英アベリストウィス大などの研究チームが14日、英科学誌ネイチャーに発表した。ただ、これほど遠くから巨石を持ってきた理由は不明だ。

 ストーンヘンジは新石器時代の紀元前3000年ごろに建設が始まった環状列石(ストーンサークル)で、同1500年ごろまで増築が繰り返された。巨石が円形に並んでおり、建設の目的は不明だが、墓や天文観測施設として機能した可能性が指摘されている。

 今回研究チームが分析したのは、遺跡中心部の「祭壇石」(縦5メートル、横1メートル、高さ50センチ、重さ6トン)と呼ばれる石で、鉱物の年代や組成を調べた結果、スコットランド北東部産と判明した。紀元前2620~同2480年ごろに運び込まれたとみられる。

ストーンヘンジを巡る新説を1面などで報じる英国の新聞各紙=2024年8月15日、篠田航一撮影

 研究を主導したカーティン大大学院生で英西部ウェールズ出身のアンソニー・クラーク氏は、英紙タイムズに「信じられない発見」と述べ、運搬方法については「陸路は障壁があるため、海上輸送が実現可能な選択肢だ」と語った。

 ストーンヘンジの石を巡っては、大型の石は25キロ北で産出され、内側の比較的小さな石は240キロ西のウェールズ地方から運ばれたことが既に判明している。今回の「祭壇石」は小さな石の一群の仲間だが、スコットランドから運ばれた理由は謎に包まれている。

 ストーンヘンジに英国各地の石が集められていたことについて、英BBC放送は「新石器時代の英国は、従来考えられていたよりも地域間の結び付きが強く、高度な社会だった」可能性があると分析している。【ロンドン篠田航一】

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