イスラエルが19日(米東部時間18日)に実施したとされるイランへの「報復」について、米政府がほぼ沈黙を保っている。米紙ワシントン・ポストによると、バイデン政権は政府機関に公の場で今回の攻撃について話さないよう指示しているという。事態を沈静化させ、イラン、イスラエル両国による報復の連鎖を防ぐ狙いがあるとみられる。
「米国はいかなる攻撃にも関与していないということ以外は、何も話すつもりはない。緊張緩和に集中している」。ブリンケン国務長官は19日、訪問先のイタリアで開いた記者会見で、イスラエルによるとみられる攻撃について詳細な説明を拒んだ。オースティン国防長官は19日、イスラエルのガラント国防相と電話で協議。だが米国防総省が出した声明は「地域の安定への取り組みのほか、パレスチナ自治区ガザ地区の最新情勢、人道支援を加速させるための方策について話し合った」とする短いもので、今回の攻撃については触れなかった。
さらにホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官も19日の記者会見で「(イスラエルの攻撃について)関心があることは理解しているが、今日の午後は何も話すことがない」と説明。通常は記者会見に同席し、外交や安全保障について説明するホワイトハウスのカービー大統領補佐官(広報担当)もこの日は欠席した。
米政府関係者は米ABCテレビの取材に対し、沈黙についての詳細な説明は拒み、「結局のところ、我々は戦争を止めようとしているのだ」と述べた。【ワシントン松井聡】
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