【カイロ=佐藤貴生、ワシントン=大内清】イスラエルは19日、イランに対する軍事攻撃を実施した。米政府当局者が米CNNテレビに語った。無人機(ドローン)を使ったとされ、イランが13~14日にイスラエル領土に向けて行った大規模攻撃への反撃とみられる。長年敵対するイスラエルとイランの互いの領土への直接攻撃が、さらにエスカレートする事態が懸念されている。
米紙ニューヨーク・タイムズはイラン当局者の話として、中部の都市イスファハン近郊の空軍基地に攻撃があったと報じた。ロイター通信がイランメディアの報道として伝えたところでは、イスファハン州に「無人機3機」が飛来。イランは防空システムで迎撃した。
空軍基地近くでは3回の爆発が起き、当初はミサイルによる攻撃との見方が出たが、イラン政府高官は防空システムが作動した結果だとしてミサイルの着弾を否定した。
イスファハン州ナタンズには核開発施設があるが、国際原子力機関(IAEA)はイラン国内の核施設に被害はなかったと確認した。イラン高官は「即座に報復する計画はない。背後関係が明確でない」と述べた。
米NBCテレビは消息筋の話として、バイデン米政権はイスラエルによる反撃に米国が関与していなかったと報じた。反撃についてイスラエルから米側に事前の通告があったとも伝えた。通告がどのタイミングで行われたかは不明。
イランは1日に在シリア大使館がイスラエルに空爆された報復として、13~14日に300超の弾道ミサイルや巡航ミサイル、無人機をイスラエルに向けて発射した。
イスラエルは米英などの支援を受けて「99%」を迎撃したが、南部の軍基地で小規模の被害が出るなどし、イランに反撃する方針を示していた。両国が本格的に衝突すれば中東が混乱するため、バイデン米政権などはイスラエルに自制を求めていた。
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