イスラエルが19日に行ったイランへの報復攻撃について、立山良司・防衛大学校名誉教授(中東現代政治)に話を聞いた。イスラエルによる反撃は、先日イランから受けた攻撃内容を考慮して「均衡のとれたもの」だったと立山氏は指摘。一方で、イスラエルが今後もイラン攻撃を繰り返す可能性もあると述べた。
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イランから初の本土攻撃を受け、イスラエルは今回、政治的メンツにかけてイラン本土への報復攻撃をせざるを得なかったのだろう。今後もイスラエルはこの種の攻撃を繰り返すとみられる。
ただし、大規模攻撃への移行は考えにくい。先日のイスラエルの被害が少なかったのは、米英など多国間の防空システムが機能したからだ。イスラエル一国での対処は難しかったとされ、同国もこのシステムの解体を恐れている。
イランが攻撃したのは軍事施設で、大都市は狙わなかった。今回のイスラエルの攻撃も同様で、均衡のとれた反撃を考慮した結果だろう。攻撃されたイスファハン州には核施設もあるが、狙われなかったのはそのためだ。イスラエルの長距離攻撃能力はそもそも高くなく、米国も事態の悪化を望まない現状で、核施設攻撃も現実的ではない。
パレスチナ自治区ガザをめぐる戦況は膠着(こうちゃく)しており、イスラエルは軍事的に手いっぱいだ。とはいえ、報復がエスカレートする危険性もある。国際社会は双方に自制を求め続けるしかない。(聞き手 本間英士)
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