ロシアと西側の間で冷戦終結後、最大規模の身柄交換が行われました。

アメリカ・ワシントン近郊の空軍基地。バイデン大統領は1日、ロシアに拘束されていたアメリカ人を出迎えました。ハリス副大統領も一緒です。

帰国を果たしたのは、元海兵隊員やジャーナリストたち。

その一人が、ロシア国内で取材中、スパイ活動を行ったとして逮捕され、懲役16年の判決を受けていたウォール・ストリート・ジャーナルのエバン・ゲルシコビッチ記者(32)です。拘束されてから491日。待ち焦がれていた家族との再会です。

アメリカ・バイデン大統領
「素晴らしい気分。待ちわびていました。実現できると確信がありました。同盟の力です」

ロシアとベラルーシで拘束されていた欧米人、それに、ロシアの反体制派ら合わせて16人の身柄が引き渡されました。

交換された元海兵隊員・ポール・ウィーラン氏(54)
「ロシアに2週間の休暇で訪れて、それだけで当局に拘束されて。スパイの将校だとか、諜報員だとか。不条理な理由で拘束され、解放されませんでした。これがプーチンの統治のやり方」

一方、ロシア・モスクワの空港。こちらでも大統領が出迎えです。

西側諸国で拘束されていたロシア人が帰国しました。スパイや殺人の罪で収監されていた8人です。

ロシア・プーチン大統領
「祖国は、皆さんのことをひと時も忘れませんでした。皆さんをロシアに戻せました。全員に勲章が授与されます」

今回の身柄交換は、トルコが仲介しました。アメリカにとっては、1年以上にわたる交渉を続けた末の成果でした。

最大のネックとなっていたのが、FSB=ロシア連邦保安庁のワジム・クラシコフ工作員です。5年前、ドイツのベルリンで、ロシアの反体制派指導者を射殺した罪で終身刑に服していました。

プーチン大統領は、この工作員と記者の交換に関心を示してきました。

ロシア・プーチン大統領(2月)
「記者をロシアの刑務所に閉じ込めておくのは意味がない。アメリカ側の諜報機関も、ロシアの諜報機関が直面する問題の解決を考えてほしい」

取材中に拘束されたジャーナリストと殺人罪で服役する工作員。ドイツにとっては、苦渋の決断でした。

ドイツ・ショルツ首相
「正しい決定だと信じています。自由になった人々と話をすれば、疑念は消えることでしょう」

ロシアが見返りを求め、不当な拘束をまた繰り返すのではないか。そんな重い問いが残されています。

アメリカ・バイデン大統領
「私の役目は市民の拘束を防ぐこと。拘束されたら帰還させること。別の誰かが拘束されるのを恐れて、すでに収監されている人を見捨てる考えには賛同できません」

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