イスラエルとイラン

 イラン中部イスファハンと北西部タブリーズで19日、相次いで爆発が起きた。イスラエルや米国の政府関係者は米ABCニュースなどに対し、イスラエルがイランに報復攻撃を実施したと明らかにした。イランメディアはイランの防空システムが無人航空機(ドローン)を迎撃したと報じている。イランとイスラエルの間では報復の連鎖が続いており、中東情勢がさらに緊迫する恐れもある。

 攻撃についてはイスラエル、イランとも公式には認めていない。イラン政府高官はロイター通信に対し、イランが即座に報復する計画はないと述べ、事態を静観する姿勢を示した。

 イランメディアなどによると、イスファハンで迎撃したのはドローン3機で、イスファハン北東部の空軍基地が標的だったとの情報があるが、被害の有無など詳細は明らかになっていない。首都テヘランやイスファハンなどイランの複数の都市では、航空便の発着を一時、中断した。

 また、ドローンはイラン国内から発射された可能性があるとも報じられている。イスラエルは過去、イラン国内で工作員や協力者を使って暗殺などの工作活動を行ってきたともされる。

 イスファハンや近郊のナタンツにはイランの核関連施設があるが、国際原子力機関(IAEA)は19日、X(ツイッター)で「イランでの核施設には被害がないことを確認した」と明らかにした。IAEAは全ての関係者に自制を求め、「核施設が軍事衝突の標的になることは絶対にあってはならない」と強調した。

 イランはパレスチナのイスラム教徒が迫害されているとしてイスラエルを敵視し、イスラエルも核開発疑惑があるイランを安全保障上の重大な脅威と見なしてきた。イランは以前からパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスを支援。昨年10月にハマスとイスラエルの戦闘が始まると、周辺国の親イラン武装組織がイスラエルを攻撃して緊張が高まっていた。

 さらに今月1日にはシリアの首都ダマスカスでイラン大使館の建物がイスラエルによるとみられる空爆を受け、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」の幹部ら13人が死亡。イランは報復として13日、イスラエル領内に対して無人機や弾道ミサイルなど300発以上を発射した。イスラエルはその大半を迎撃したものの、イランへの報復攻撃を準備していた。【カイロ金子淳】

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