11月の米大統領選に向け、民主党の副大統領候補選びが佳境に入っている。副大統領候補は大統領候補に欠けているものを補うという観点や、選挙戦略で選ばれることが多い。党の大統領候補の指名を固めたハリス副大統領(59)は西部カリフォルニア州出身で黒人、アジア系、女性という属性を持つ。ハリス氏の伴走者は誰になるのか。
米メディアで真っ先に名前が挙がるのが、東部ペンシルベニア州のシャピロ知事(51)だ。同州は大統領選の結果を左右するとされる激戦7州の一つで、ラストベルト(さびついた工業地帯)が含まれる。2016年の大統領選では、ラストベルトで支持が高い共和党のトランプ前大統領(78)が制し、20年は民主党のバイデン大統領(81)が取り返した。
シャピロ氏は22年の知事選で、トランプ氏が推す共和党候補を破り初当選した。州議、州司法長官などを歴任し、現在も高い人気を誇る。ユダヤ系でもあり、仮に副大統領候補になれば、00年の大統領選で民主党の候補者だったゴア氏に指名され、ユダヤ系初の副大統領候補になったリーバーマン元上院議員以来となる。
シャピロ氏は、イスラエルのネタニヤフ首相には批判的で、パレスチナとの「2国家共存」を支持する一方、「シオニスト(イスラエル国家の信奉者)」を公言する。パレスチナ自治区ガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルへの抗議活動に対し、苦言を呈したこともあった。
米NBCニュースによると、民主党関係者は、ハリス氏の夫もユダヤ系であることに触れ、大統領に最も近い2人がユダヤ系だった場合、政府への批判が反ユダヤ主義につながりかねないとの懸念を示したという。
シャピロ氏のほかには、激戦州の一つである西部アリゾナ州の上院議員で、米航空宇宙局(NASA)の元宇宙飛行士のケリー氏(60)や、中西部ミネソタ州の知事で元下院議員のワルツ氏(60)、共和党地盤の南部ケンタッキー州で知事を務めるビシア氏(46)らの名前が挙がる。いずれも白人男性で、ハリス氏とのバランスを考慮した人選となる可能性がある。
米メディアによると、民主党は1日、党の大統領候補を正式に指名するため、代議員によるオンライン投票を始めた。5日午後6時まで実施し、最終集計結果を発表する。立候補しているのはハリス氏のみで、指名は確実な情勢だ。ハリス氏は6日までに副大統領候補を発表すると報じられている。【ワシントン松井聡】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。