下げ幅が一時1300円を超えた日経平均株価(下段)と、153円台後半を付けた円相場を示すモニター=19日午前、東京・東新橋

19日午前の東京株式市場の日経平均株価は急落し、前日比の下げ幅が一時1300円を超えた。取引時間中では約2カ月半ぶりに3万7000円を割り込んだ。イラン領内の複数の場所で爆発があったとの報道があり、中東情勢の緊迫化による原油相場の上昇などのリスクを回避しようと売りが先行した。18日の米国の長期金利が再び上昇基調となり円安進行の懸念が拭えない中、半導体大手が今年の市場見通しを下方修正したことも影響した。

中東の複数のメディアが19日、イスラエルのミサイルがイラン領内に着弾したとみられると報道したことで、ニューヨーク原油先物相場では、指標の米国産標準油種(WTI)が一時1バレル=86ドル手前まで急騰した。原油価格のさらなる上昇懸念が高まり、リスクを回避しようと株価は下落に作用した。

18日には米ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁が「利下げを急ぐ必要はない」との趣旨の発言をしたことで、日米の金利差が縮まりにくい状況が意識され、ドル高円安が長期化する公算が高まった。原油高と円安による輸入価格や製造コストの上昇が業績に重しになる見方が広がり、国内の製造業などを中心に株価の押し下げ要因となった。

さらに、18日には半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が今年の半導体市場の成長見通しの下方修正を発表。これを受け、19日には東京エレクトロやアドバンテストなど日経平均の上昇を牽引する半導体関連の株価が大きく下がった。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「今回の日経平均の急落は、ドル高円安の進行と中東情勢の悪化、半導体関連などハイテク株の下落といった3要素が重なったことの影響が大きい」と分析している。(西村利也)

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