五輪の開会式を控えたフランスの高速鉄道『TGV』の路線で、何者かが放火を行い、列車が運行できなくなくなりました。
パリ南部のモンパルナス駅構内には、多くの人が行き場をなくしていました。
放火は、1カ所だけではありませんでした。
1つ目は、パリから中心部から南西へ約150キロ地点。2つ目は、東に250キロ地点。3つ目は、北に150キロの場所です。さらに、もう1カ所、南東へ伸びる路線では、26日午前1時すぎに職員が不審者を発見。慌てて逃げていったため、未遂に終わったと、当局はみているといいます。
4本とも、各地とパリの中心部を結ぶフランスの大動脈といえる路線です。
4カ所を同時に放火しようとしたということであれば、複数人による計画的犯行の可能性が濃厚です。
パリから北に150キロ地点の破壊行為が確認された場所です。
犯行は、田園地帯を走る路線で行われました。作業員たちが線路脇にある側溝の上にいます。側溝に敷き詰められたケーブルに火がつけられたとみられます。
国鉄によりますと、列車の安全情報や進路情報などを送信する光ファイバーのケーブルに火がつけられ、列車の運行ができなくなったといいます。
モンパルナス駅で、運輸相と国鉄の総裁が合同で会見を行いました。
フランス・ベルグリエーテ運輸相
「TGV路線が妨害行為の被害は、けさ4時ごろの話です。当該の路線がさまざまな影響を受けています。最も強い言葉で、遺憾の意を表します」捜査を主導するダルマナン内相とともに、妨害行為を非難します。
フランス国鉄・ファランドゥ総裁
「まずは復旧を急ぎたい。数百人単位の人員を動員しています。警察の捜査が終わるまで、現場で作業員が待機しています。全体の復旧までには2日。今週いっぱいはかかるでしょう。ケーブルの1本ずつを直す作業となります」
現在は、徐々に復旧しているそうですが、完全復旧は週明けになる見込みで、フランス国鉄の発表では、影響を受ける利用客は延べ80万人に上るといいます。
フランス国鉄・ファランドゥ総裁
「きょうから夏のバカンス、大移動の日。多くの人々が影響を受けてしまった」
フランス国鉄関連会社社長・ファニシェ氏
「きょうだけで25万人。週末にかけて80万人に影響するでしょう。列車1本が再開するたびに1000人がバカンスに行けます」
利用客
「五輪の開催が関係していると思います。何でも壊そうとする人がいますから」
利用客
「主要路線で起きたので、とても心配です。パリの開会式で何か起きないことを願います」
五輪の開会式には、国内外から30万人が訪れるといわれていました。到着できないという人も出てきそうです。
一般人だけではなく、TGVは、アスリートたちの移動手段として活用されていたため、その影響も出ています。
ドイツの自転車チームが開会式に向けて、TGVでパリに到着する予定でしたが、出発できなくなり、対応を検討しているといいます。
初戦を終えたなでしこジャパンも同様です。当初、現地時間午後にパリまでTGVで移動予定でしたが、急きょ、バスに変更。休憩を挟みながら、5〜6時間かけて選手村に直行するといいます。バスケットボール女子の日本代表チームは、開会式に間に合わず、欠席が決まったそうです。
フランスのカステラスポーツ相は、怒りをにじませました。
フランス・カステラスポーツ相
「これまでの調査によると、恐らく組織だった悪意のある破壊行為です。けさ起きたことを断固非難します。非常にショッキングです。(Q.感じているのは嫌悪?怒り?)怒り心頭です。五輪への攻撃は、フランスへの攻撃。自分の国を攻撃しているのです」
死者やけが人などは出ておらず、開会式は、予定通り行われるということです。
いまのところ、フランス当局は“テロ”と断定はしていませんが、厳重警戒中に起きた大規模な破壊行為です。犯人もわかっていません。より警備を厳重にし、開会式に臨むといいます。
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