国連のグテレス事務総長は25日、今夏の世界的な猛暑は「致命的」だとした上で、社会的に弱い立場にある人々への配慮や労働者の保護など緊急行動を呼びかけた。「分断した世界を一つにするものがあるとすれば、私たち全員が高まる暑さを感じていることだ」と述べた。
国連本部で記者会見したグテレス氏は、「極端な暑さは経済をますます疲弊させ、不平等を拡大し、持続可能な開発目標(SDGs)を弱体化させ、人々の命を奪っている」と語った。また、年間50万人が暑さに関連して死亡しているとの推定に触れ、「原因は化石燃料の使用による人為的な気候変動だ」と明言。気温上昇の傾向はこれからも続くとした上で、「猛暑は新たな異常だ」と強調した。
続けてグテレス氏は、最も脆弱(ぜいじゃく)な人々への配慮▽人権に根ざした労働者の暑さ対策▽科学に基づき経済と社会の強靱(きょうじん)さを高める▽世界の気温上昇を1・5度に抑える――という四つの分野で各国に行動を喚起した。2050年までに猛暑の都市部で暮らす貧困層は現在の7倍に膨らむ可能性があるとし、低炭素技術を用いた冷房普及の必要性などを訴えた。
欧州連合(EU)の気象情報機によれば、世界の平均気温は今月21、22日に2日連続で観測史上最高を記録した。月単位での世界平均気温は今年6月まで13カ月連続で最高を更新し続けている。【ニューヨーク八田浩輔】
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