東南アジア諸国連合(ASEAN)や日米中露なども参加する一連の外相会議が26~27日、ASEAN議長国ラオスの首都ビエンチャンで開かれている。北朝鮮の代表も参加し、北朝鮮の核・ミサイル問題なども議論する見通しだが、ラオスは元々北朝鮮と関係が深い。その親密さを示す「象徴」が会場から徒歩3分の場所に立っていた。
日本の上川陽子外相も訪れる予定の会議場、「ナショナルコンベンションセンター」のすぐ北側に「カイソーン・ポムウィハーン博物館」がある。博物館の正面に建っているのは、ラオス初代首相のカイソーン氏の銅像だ。
実はこの銅像、北朝鮮最大の美術制作会社「万寿台(マンスデ)創作社」が手がけた作品だ。北朝鮮は外貨稼ぎの一環として長年にわたりアフリカ諸国などで銅像建設を受注してきた。
カイソーン氏は、ラオスがフランスから独立した後の内戦を勝ち抜き、1975年に政権を握った。北朝鮮と深い関係を築いており、同博物館には77年に訪朝したカイソーン氏が北朝鮮の金日成主席と談笑する写真などが飾られている。カイソーン氏の銅像の両脇には、革命を共に戦った労働者らをイメージした群像の銅像もあり、これも万寿台創作社による制作だ。
同社はセネガル、ギニア、コンゴ共和国、ナミビアなどアフリカ各地で銅像建設を受注し、資金源としてきた。だが国連安全保障理事会は2016年に核・ミサイル開発に対して、北朝鮮による銅像輸出を禁じる制裁措置を採択し、近年は銅像による外貨稼ぎは困難になっている。ちなみにラオスのカイソーン氏の銅像などは制裁発動前に建てられている。
一方、今でもアフリカでは北朝鮮が制裁逃れで銅像を輸出しているとの指摘も一部で出ている。西アフリカのベナンで20年に建設された女性兵士の大型銅像について、米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ」は、この像が中国企業を経由して実質的に万寿台創作社が手がけたものだと報じた。ベナン政府は北朝鮮の関与を否定したという。【ビエンチャン福岡静哉】
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