中国で今、急速に普及しているのが自動運転の「無人タクシー」です。市民から広い支持を受ける新たなハイテクサービスなんですが、一方で、深刻な問題を引き起こしているようです。
記者
「こっちに寄ってきましたね。これだ、これだ。見てください、運転手乗ってないですよ」
こうした、自動運転の「無人タクシー」、湖北省の武漢市では400台以上走っています。
利用方法は実に簡単で、専用のアプリで乗車位置と目的地を指定、タクシーが来たらパスワードを入力します。そして、車内のパネルに表示された出発ボタンを押すと動きはじめます。
記者
「非常にゆっくりなスピードで走っています。どうしたのでしょう?前の信号が赤になりそうなんですね」
安全運転が徹底されていて、右折直後にバイクが反対方向から来ている状況も正確に把握していました。
中国メディアによりますと、武漢市での無人タクシーの利用回数はサービスが始まった2月以降で、すでに150万回を超えたといい、市民の足として支持されつつあります。
無人タクシー利用者
「運転は安定しています」
「中国式現代化ですね」
さらに…
無人タクシー利用者
「一般のタクシーより安いんだよ」
料金が4割ほど安いのも、急速に普及が進む理由の一つです。一方で…
タクシー運転手
「どんどん収入が減っているよ。無人タクシーが一般のタクシーと同じ値段なら気にしない。だけど、俺たちの半分の値段で商売するなんて、あまりに安すぎる」
空港の駐車場に待機しているタクシーは100台以上。暇そうにしている姿が目立ちます。
こちらは、一食300円で食べ放題の食堂。タクシー運転手たちのたまり場となっているのですが…
タクシー運転手
「無人タクシーがさらに普及したら、もっと悪くなる。家族を養えない」
なかには、中国政府に規制を求める動きも。
タクシー運転手
「先月、抗議やストライキもしたよ。もう運転手の仕事をやめた方がいいかも。あまりにつらくて続けてらんないよ」
今後、無人タクシーが中国全土に普及すれば、数百万人の雇用が失われる可能性も指摘されています。雇用の確保か、利用者の利便性か。無人タクシーの普及は新たな課題を突き付けています。
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