11月の米大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領(81)に対し、18日から19日にかけて新たに党の連邦議員10人以上が撤退を要求した。米紙ワシントン・ポストによると、1日の撤退要求としては過去最多。19日午後時点で撤退を求める議員は計35人超となり、党の全連邦議員(264人)の1割を超えた。バイデン氏への包囲網は狭まってきている。
一方、新型コロナウイルスに感染し自主隔離中のバイデン氏は19日の声明で、「来週、選挙戦に戻るのを楽しみにしている」と述べ、撤退を改めて否定。ただ水面下で撤退を検討しているとの報道もある。
複数の米メディアによると、新たに撤退を要求したうちの一人は、マーク・ビージー下院議員(南部テキサス州選出)で黒人議員では初めて。バイデン氏が強固な支持基盤としてきた黒人にも離反の動きが広がった格好だ。
バイデン氏は公には選挙戦を継続する意向を堅持しているが、米紙ニューヨーク・タイムズは大統領の周辺の話として、バイデン氏が撤退するかどうかで揺れ始めていると報じた。
またNBCテレビは、バイデン氏の家族が、仮にバイデン氏が撤退を決めた場合、それがどのような形であるべきかを話し合ったと報道。後任候補が共和党のトランプ前大統領に勝つことにつながり、さらにバイデン氏にとって50年以上にわたる政治家としての功績にふさわしい形であるべきだと考えているという。
こうした中、民主党は19日、大統領候補指名の方式に関する協議を行った。既に党全国委員会(DNC)は8月19~22日に開催される党大会の前に、オンラインで候補を指名する計画を公表している。中西部オハイオ州の候補指名の期限(8月7日)に合わせるためだったが、その後期限が延長されたため、現在は通常通り党大会で指名する方式でも問題はなくなっている。
だが19日の協議では、改めてオンラインで指名する案が示された。26日までに再度会合を開き、方式を決定する。党大会前の指名に対しては、一部議員から「バイデン氏の撤退論を封じ込めるためだ」などと批判の声が上がっている。【ワシントン松井聡】
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