中国共産党の重要会議「第20期中央委員会第3回総会(3中全会)」が18日、4日間の日程を終えて閉会する。中国で不動産不況や個人消費の低迷が長期化し、人口減少などの影響も懸念される中、今後の持続的な発展へ向けた中長期的な経済政策を中心に議論したとみられる。概要をまとめた公報(コミュニケ)が発表される予定。
会議では、習近平国家主席(党総書記)が、党が絶大な権限を握る独自の発展モデル「中国式現代化」の推進に関する決定案を説明。一党支配体制の安定を優先しながら、停滞する経済を立て直す改革の方針を打ち出し、市場や企業、消費者の信頼を回復できるかが焦点となる。
習氏は昨秋以降、最先端技術・産業の振興を強化し、技術革新を通じて成長を底上げする「新質生産力」というスローガンを掲げており、今回も改めて強調する見通しだ。また、巨額の地方政府債務が経済リスクとなりかねない中、税制改正を通じて地方への財源配分を手厚くする方針が示される可能性がある。
一方、新たな不動産不況対策や抜本的な消費喚起策がどこまで示されるかは不透明だ。習氏は従来、「いかなる改革であろうと、党の全面的な指導を堅持しなければならない」と繰り返し述べてきた。強権体制が民間活力を損なう弊害が露呈している中でも、党が権限を手放すような抜本的な市場活性化策が打ち出される可能性は低いとみられる。
中国経済は、輸出や投資偏重の経済体制から消費主導への転換が課題となっている。今回もハイテク分野の産業支援など供給サイドの方針ばかりが目立つ結果となれば、市場関係者の失望を買いかねないほか、企業や消費者の成長期待も高まらず、低調な経済が長期化する可能性もある。
会議では人事についても議論され、李尚福前国防相と魏鳳和元国防相の党籍剥奪処分が追認される見込み。両氏は既に巨額汚職など重大な規律違反による処分が公表されていた。習氏は10年以上、汚職撲滅キャンペーンを展開してきたが、自らが任用した軍幹部や閣僚の汚職事件が後を絶たず、一党支配体制に巣くう腐敗体質の根深さが浮き彫りとなっている。
人事では、昨年7月に解任された秦剛前外相が中央委員の地位を外れるかどうかも注目される。秦氏は1年前に動静が突然途絶えた。その後、米メディアなどが女性スキャンダルや機密漏えいに関わった可能性を伝えていたが、党籍剥奪のような処分は公表されていない。
中央委員会総会は、5年に1回の党大会と並ぶ党の最高指導機関で、年1回以上の開催が党規約で定められている。特に3中全会は、1978年に改革・開放路線の導入を決定するなど歴史的に重要な経済方針を決める場となってきた。通常は、会議で採択された決定の全文は数日後に公表される見込みで、具体的な経済政策などの中身はその際に明らかになるとみられる。【北京・小倉祥徳、河津啓介】
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