韓国の同性パートナーの健康保険加入を巡る訴訟で勝訴し、喜ぶ原告の蘇晟旭さん(左)とパートナーの金龍敏さん=ソウル市の大法院で7月18日、福岡静哉撮影

 韓国で、男性が同性のパートナーが加入する健康保険の被扶養者資格を認めるよう求めた行政訴訟の上告審があり、韓国大法院(最高裁)は18日、原告の訴えを認める判決を言い渡した。判決は、被扶養者資格の不認定処分が「憲法上の平等原則に違反しており違法だ」との判断を初めて示した。

 韓国では同性婚が認められていない。キリスト教団体などを中心に同性カップルへの反発も根強く、今回の判決は注目されていた。原告の蘇晟旭(ソソンウク)さん(33)は「感激している。(この判決が)性的少数者の婚姻の平等を実現する懸け橋となってほしい」と喜びを語った。

韓国の同性パートナーの健康保険加入を巡る訴訟で勝訴し、喜ぶ原告の蘇晟旭さん(左から4人目)、パートナーの金龍敏さん(同5人目)と弁護士ら=ソウル市の大法院で7月18日、福岡静哉撮影

 蘇さんは2020年、健康保険の加入者であるパートナーの金龍敏(キムヨンミン)さん(34)の被扶養者として登録するよう、国民健康保険公団に申請した。同公団は一旦は登録したが、後に「被扶養者の認定条件に合致しない」として取り消した。蘇さんはこの処分を不服として同公団を相手取って21年に行政訴訟を起こしていた。

 18日の大法院判決は、事実婚の関係にある異性間のカップルには認められる権利を同性カップルに認めない同公団の処分を「差別」と認定した。

 1審判決は原告の訴えを退けたが、2審判決は平等の原則に反するとして訴えを認めた。これを受け、同公団が上告していた。

 日本では、同性カップルの一方が健康保険に加入していても、そのパートナーに被扶養者資格は認められていない。【ソウル福岡静哉】

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