アメリカ・ペンシルベニア州で発生したトランプ前大統領に対する銃撃事件は、今後の大統領選にどのような影響を与えるのでしょうか。テレビ朝日外報部の中丸徹デスクが解説します。
■“ボールはトランプ氏に渡る?”
“ボールはトランプ氏に渡る?” この記事の写真(Q. Real Clear Politicsによると、事件前に集計されたトランプ前大統領とバイデン大統領の支持率は、トランプ氏が47.1%、バイデン氏が44.4%と、トランプ氏が3ポイントほどリードしていました。今回の事件を受けて、この支持率が今後どうなると思いますか?)
中丸デスク「今回は事件であると同時にやはり大きな出来事ですので、どうしても選挙戦には影響してきます。トランプ氏の支持者は団結を呼び掛けていますし、既に多くの人が『トランプ氏を支援する』という発言をしています」
「もう一つ、トランプ氏が事件の対応で見せたのは、目に見えた強さだったと思います。倒れたあとに、血を流しながら立ち上がって拳を突き上げた。やはりこれはトランプ氏の気力と体力が強いということを示しています。この気力と体力が、支持率という意味では短期的には間違いなく高まる方向に働くと思います」 目に見えた強さ
(Q.バイデン氏が今、不安視されている体力面での強さを見せたことにもなりますね?)
中丸デスク「はい。それはやはり対比されると思います」
(Q.このままトランプ氏の優勢が続くのでしょうか?)
中丸デスク「ところが、そうとも言えないと思います。これから何が起きてくるかというと、バイデン氏が持っていたボールが今度はトランプ氏の方に移ると思います。これまでは『物価が高いのはバイデン氏のせいだ』、『移民が多いのはバイデン氏のせいだ』と現職の大統領に対する批判をする立場としてトランプ氏があったわけです」
「しかし、多くの人が『トランプ氏が優勢だね。勝ちそうだね』と認識してくると、『実際に本当に大統領になった時にどんな政策をするか』という検証がこれから4カ月間行われるでしょう。『経済はどうしますか』、『外交はどうしますか』、そして『移民問題にどういうふうに具体的なアプローチを出してくるんですか』。トランプ氏の答えに対して、メディアでもいろいろ検証してくるでしょう。これがどのような説得力を持つかによって情勢は変わってくるでしょう」
「例えば、既にトランプ氏は8年政治家をやっていまして、今回はだいぶ現実的な対応策をしているということで、『トランプ2.0』などと呼ばれています。例えば、かつてのように分断をあおるような発言をした場合、一部の有権者が『やっぱりトランプ氏では駄目だ』と、アンチトランプの受け皿としてのバイデン氏というのが再び浮上してくる可能性もあると思います」
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■見えない「オクトーバー・サプライズ」■見えない「オクトーバー・サプライズ」
見えない「オクトーバー・サプライズ」(Q. 今後の日程は、それぞれの党大会を経て、9月10日に第2回テレビ討論会、11月5日に投開票が予定されています。選挙戦は残り4カ月ほどですが、ポイントはどこになると思いますか?)
中丸デスク「一つ目はやはりテレビ討論会です。1回目はバイデン氏が失敗したなという感じでしたが、2回目はいろいろな議論を経て、おそらく今回が最後だとみられていますが、直接対決でどんな決着がつくのかというのがポイントです」
「二つ目は、10月の見えないイベント『オクトーバー・サプライズ』です。これまでの大統領選挙でも何度も11月の投開票の直前に何かが起きて、それまでの情勢がガラッと変わってしまうという出来事が、かつて繰り返されてきました」
(2016年ヒラリー・クリントン氏のメール問題で捜査、2020年トランプ氏の新型コロナウイルス感染)
「それが何かは今は分かりませんが、何かが起きて、どちらかに傾いた流れが10月にひっくり返ることもあるという『オクトーバー・サプライズ』が、アメリカでは注目されます」
(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年7月15日放送)
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