11月のアメリカ大統領選挙に向けた選挙集会で起きたトランプ前大統領の暗殺未遂事件。発生からまる一日を超えて、容疑者像や犯行当時の様子などが徐々に明らかになってきています。こうした中、トランプ氏は共和党の全国大会に出席するため、ウィスコンシン州に入りました。

テレビ中継もされていた選挙集会中の前大統領への銃撃。

シークレットサービス
「頭をおさえてください。急いで移動しなければなりません。急いで移動してください」
トランプ前大統領
「靴をとらせてくれ」

世界に大きな衝撃を与えました。

この事件でトランプ氏は右耳をけが。ほかに男性3人が撃たれ、うち1人が死亡、2人は重傷です。

亡くなった男性は地元の消防士で、家族をかばって犠牲になったということです。

記者
「事件で亡くなった男性が使っていた消防服のすぐそばには花が手向けられています」

亡くなった男性の同僚
「彼は本当に思いやりがあり、できるだけ多くの人を幸せにしたいと思っていました。自分よりもみんなを優先していました」

事件をめぐっては、当時の状況が徐々に分かってきました。

現場で射殺されたトーマス・クルックス容疑者は、トランプ氏が演説をしていた場所からおよそ135メートル離れた建物の屋上にいたとみられています。

選挙集会に参加していた人
「シークレットサービスが突然フェンスを乗り越えて、建物に駆け上がるのが見えたんだ。悪夢だよ。まるで映画の中にいるようだった」

AP通信によりますと、クルックス容疑者は駆け付けた警察官にライフルを向け、警察官がはしごを降りた隙にトランプ氏に向けて発砲したということです。

また、アメリカメディアは、使用されたのは殺傷能力が高いライフル「AR15」で、容疑者の父親が合法的に購入したものだと報じています。

そのクルックス容疑者の人となりについても少しずつ明らかに。容疑者の高校の卒業式の映像。同級生は当時の様子について…

高校の同級生
「彼はいじめられていて、お昼休みも一人で座っていた。彼はたまに狩りの格好をしていて、服装のことでからかわれていた」

高校卒業後、クルックス容疑者は現場から車で1時間ほどのところにある介護施設に勤務していたことも分かりました。

FBIは単独での犯行とみて、動機の解明を進めています。

暗殺未遂事件から一夜明け…

バイデン大統領
「アメリカでは意見の違いを銃弾ではなく、投票箱で解決するのだ」

バイデン大統領が国民に向けて演説。「今こそ冷静になるときだ」と述べ、党派を超えた団結を呼びかけました。

一方のトランプ氏は、共和党全国大会が開かれる中西部ウィスコンシン州へ。これに先だち、トランプ氏は…

「銃撃者に予定を変更させない」

SNSで事件に屈しない力強さをアピールし、空港に到着した際にも右手を突き上げるパフォーマンス。

記者
「ウィスコンシン州ミルウォーキーです。私の後ろの会場で、あすから共和党全国大会が開かれます。トランプ前大統領の銃撃事件の直後とあって、厳戒態勢が敷かれています」

そして、事件を受けて、街なかも厳戒態勢となっています。

記者
「トランプ前大統領が宿泊しているホテルですが、近づけないようになっています。あたり一帯、すべて封鎖されています」

こうした中、アメリカの保守系メディアは、トランプ氏が事件を受けて、党大会での演説内容を全面的に書き直していると報道。

もともとはバイデン政権の政策への批判を中心とした演説を予定していましたが、国民に団結を呼びかける内容に変更するということです。

「この歴史的な瞬間を活かし、国をひとつにまとめたい」

トランプ氏は党大会の最終日18日に指名受諾演説を行う予定です。

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