銃撃され、負傷したトランプ前米大統領(左から2人目)=米東部ペンシルベニア州で7月13日、AP

 米東部ペンシルベニア州で起きた共和党のトランプ前大統領に対する銃撃事件を受け、大統領警護隊(シークレットサービス)の警備態勢に不備があったのではないかとの批判が高まっている。共和党が多数派を占める下院のマイク・ジョンソン議長は「不手際」を調査すると表明。バイデン大統領は14日の演説で、独立した検証をするよう関係当局に指示したと明かした。

 トランプ氏は、演説台から約120~130メートル離れた会場外にある建物の屋上からライフルで狙われた。集会参加者は米メディアの取材に対し、会場に入る際には金属探知機による検査が行われていたと証言している。一方、会場の外とはいえ、それほど遠くなく、演説台まで遮るものがない建物の屋上をどのように監視し、警備していたのかが焦点になっている。

 また、トランプ氏が登壇する直前、建物の屋上にライフルを持った不審者がいることを警察官に指摘したという目撃者の声を英BBCが報じている。この情報をどう扱って対応したのかについても疑問が残されている。

トランプ氏銃撃の位置関係

 ジョンソン氏は14日のNBCニュースのインタビューで、「議会は完全な調査を行い、警備上の不手際がどこにあったのか、また米国民が知るべきことは何だったのか明らかにする」と語った。共和党はトランプ氏を正式な大統領候補に指名する全国大会を15~18日に中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで開く。終了後に調査と責任追及を本格化させる構えだ。

 下院国土安全保障委員会のマーク・グリーン委員長は14日、マヨルカス国土安全保障長官あてに書簡を出した。19日までに警備計画などに関する文書を提出し、22日までに説明するよう要請する内容だ。

 下院監視・説明責任委員会のジェームズ・コマー委員長は大統領警護隊に説明を求め、22日の公聴会に警護隊のキンバリー・チートル長官が出席して証言するよう求めている。【ワシントン西田進一郎】

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