トランプ前米大統領が大統領警護隊に支えられた際の支持者の反応=米東部ペンシルベニア州バトラーで2024年7月13日、AP

 米東部ペンシルベニア州でドナルド・トランプ前大統領(78)が選挙集会中に銃撃された事件は、当時会場にいた大勢の支持者を恐怖とパニックに陥れた。

 その場に居合わせた支持者の男性のジョンさん(32)は事件翌日の14日、事件を「特定の支持候補への投票を阻害する、民主主義に反した暴挙だ」と批判。米国では社会の分断が進むが「これを機にトランプ派の結束はさらに強くなるだろう」と語った。

 米メディアによると、13日に同州バトラーで開かれた選挙集会には数千人の支持者が集まっていた。ジョンさんは近郊の都市ピッツバーグに暮らす。2016年の大統領選からトランプ氏を支持し、今回初めて同氏の選挙集会に参加した。

大統領警護隊に支えられるトランプ前米大統領(中央)=米東部ペンシルベニア州バトラーで2024年7月13日、AP

 トランプ氏が狙撃された瞬間について、ジョンさんは「最初は銃撃音か、爆竹の音か判別がつかなかった」という。周りでは「『頭を下げろ!』と人々が叫んでいた」と当時を振り返った。

 数十メートル先の壇上で演説していたトランプ氏がその場にしゃがみ込んだ後、大統領警護隊(シークレットサービス)に支えられて立ち上がったときに出血しているのを見て、ジョンさんは銃撃されたと確信したという。だが、トランプ氏が降壇する際に、支持者に向けて右拳を突き上げる姿を見て「私はとても勇気付けられた」と語った。

 ジョンさんと記者は事件発生後、ペンシルベニア州内の宿泊施設で偶然に出会った。トランプ氏のシンボルとなる赤いキャップをかぶっていたジョンさん。そこにはトランプ氏の選挙運動のキャッチフレーズ「米国を再び偉大に」と書かれている。ジョンさんはトランプ派の「連帯の意思」を示す思いも込めて、このキャップをかぶっていると話す。

 一方で米国社会の分断が進む中、今回の事件が起きたことで、ジョンさんは「今後は自身の政治的主張を言うのが一層難しくなる」と漏らす。自身の素性を知られたくないため、名字を明かさず、写真を撮られることも許可しなかった。【バトラー中村聡也】

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