英国の下院(定数650)総選挙の投票が4日午前7時(日本時間同日午後3時)に始まった。即日開票され、大勢判明は5日未明(同5日午前)以降の予定。世論調査によると、スターマー党首が率いる最大野党・労働党が400議席超を獲得する「地滑り的勝利」(英紙フィナンシャル・タイムズ)となり、ブラウン政権(2007~10年)以来、14年ぶりに政権を奪還する見通しだ。
一方、与党・保守党は大敗の可能性があり、党首のスナク首相のほか、ハント財務相、シャップス国防相ら主要閣僚も当落線上とみられている。
英調査会社ユーガブは3日、最新の世論調査をもとに各党の議席数を予想した。それによると、労働党431▽保守党102▽自由民主党72▽スコットランド民族党18――など。トランプ前米大統領の友人のファラージ元欧州議会議員が率いる右派ポピュリスト政党・リフォームUKも3議席を獲得するとみられる。
この数字が現実になれば、労働党は過去最多だった1997年総選挙の418議席を上回り、保守党は過去最少だった1906年の156議席を下回る。
前回19年の総選挙は、欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を掲げるジョンソン元首相のもとで保守党が大勝した。だがその後は不祥事や短期間での首相交代など混乱が続き、保守党の支持率は低迷した。一方、前回は鉄道国有化など社会主義色の濃い政策を訴えて惨敗した労働党は中道路線にシフトし、支持を拡大した。
選挙期間中、追い詰められたスナク氏はスターマー氏を「社会主義者」と呼び、労働党政権になれば増税が待っていると訴えた。ジョンソン氏も労働党が勝てば「戦後最も左翼的な政権になる」と述べた。これに対しスターマー氏は「労働党は変わった」と述べ、国防重視などを訴えた。
英国の総選挙は小選挙区比例代表並立制の日本と異なり、選挙区で最多票の候補のみが当選する単純小選挙区制。当日有権者数は約4600万人。【ロンドン篠田航一】
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