高齢を理由に11月の米大統領選から撤退するよう圧力が強まっている民主党のバイデン大統領(81)が、情勢の立て直しを図っている。3日は民主党の知事20人以上と会談し、引き続き支援を受けることを確認。今週後半はテレビ局のインタビューや激戦州での遊説に臨む。バイデン氏が「候補でいられるかはここ数日が重要」と語ったとの報道もあり、選挙戦の継続に向け正念場を迎えている。
揺れる民主党内
「バイデン氏は大統領選で勝利するためにやっていると明確にした。我々の候補者であり、党のリーダーだ」。民主党の知事20人以上が参加したバイデン氏との3日の会談後、東部メリーランド州のムーア知事はこう説明した。中西部ミネソタ州のワルツ知事も「(6月27日の)討論会はひどかった」としつつ、バイデン氏の選挙戦を支えると明言した。
またAP通信は、バイデン氏が民主党上院トップのシューマー議員ら党内の有力者に個人的な働きかけを始めたと報じた。
一方、ブルームバーグ通信によると、民主党の下院議員数十人がバイデン氏に対し、撤退を求める書簡を出すことを検討している。3日には前日に初めて民主党の現職議員として撤退を要求したドゲット下院議員に続き、グリハルバ下院議員も公に撤退を求めた。
民主党の有力者の発言にも、ここに来て微妙な変化が見られる。バイデン氏が2020年大統領選の予備選で党の候補者指名を得る流れをつくったクライバーン下院議員は2日、バイデン氏を擁護しつつ、仮に撤退する場合はハリス副大統領を支持すると表明した。
バイデン氏「私は去らない」
ニューヨーク・タイムズ紙が3日に発表したシエナ大との世論調査結果によると、大統領選でのバイデン氏の支持は41%、トランプ前大統領は49%で、討論会前から差が広がった。
こうした中、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は3日の記者会見で、バイデン氏が11月の大統領選からの撤退を検討していることは「絶対にない」と強調。バイデン氏も3日、選挙資金を集めるキャンペーンの支持者に向けたメッセージで「私は出馬する。誰も私を大統領選から押し出すことはできない。私は去らない。我々はこの選挙に勝つのだ」と述べた。
バイデン氏は週末にかけて、米ABCテレビのインタビューやウィスコンシン、ペンシルベニア両州での遊説を予定する。党内や世論、献金者の動向も踏まえた上で、選挙戦の継続の可否を判断する可能性がある。【ワシントン松井聡】
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