オランダのスホーフ新首相(右)とウィレムアレクサンダー国王=ハーグで1日、ロイター

 昨年11月の総選挙で極右「自由党(PVV)」が第1党となったオランダで2日、同党など4党による連立政権が発足した。ウィレムアレクサンダー国王が同日、承認した。過激な主張が物議を醸してきたPVVのウィルダース党首は首相に就任せず、政党に所属していない元情報機関トップで法務省高官のディック・スホーフ氏(67)が就いた。

 連立政権は、PVV▽ルッテ前首相の中道右派「自由民主党(VVD)」▽中道派の新党「新社会契約党(NSC)」▽厳しい環境規制に反対する農家の支持を受けた新興右派政党「農民市民運動(BBB)」――の保守系4党で構成する。新政権は難民・移民政策を厳格化する方針。

 昨年11月の選挙では、反移民・反イスラムを掲げ欧州連合(EU)に懐疑的なPVVが事前の予想を覆して大勝した。しかし人種差別的な発言を繰り返してきたウィルダース氏への他党の警戒感は強く、連立交渉は難航。連立相手の要求でウィルダース氏は首相の座を断念した。閣僚ポストにも就任しない。

首相府や国会議事堂などがあるビネンホフ=オランダ・ハーグで2014年3月、澤田克己撮影

 首相にはウィルダース氏の指名でスホーフ氏が就任した。ウィルダース氏は引き続き党首と下院議員を務め、実権を握るとみられる。

 ただ、連立4党の中で政権入りした経験があるのはVVDだけだ。4党の政策には相いれない部分も多く、欧州メディアは年内にも連立が立ちゆかなくなるとの見方を伝えている。

 2010年から政権を率いたルッテ氏は新政権発足まで暫定的に首相を務めてきたが、政界引退を表明している。10月に任期満了を迎える北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長の後任となる。【ベルリン五十嵐朋子】

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