11月の米大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領(81)が28日、東部ニューヨーク市の性的少数者(LGBTQなど)の聖地を訪れた。前日にあった共和党のトランプ前大統領(78)との討論会で精彩を欠いた様子と異なり、この日は張りのある声で演説を行い「健在ぶり」をアピールした。
同市では1969年6月28日、ゲイバー「ストーンウォール・イン」で警察の不当な取り締まりに対する同性愛者たちの暴動が起きた。性的少数者による人権運動の原点となったこの出来事は「ストーンウォールの反乱」と呼ばれている。バイデン氏は発生から55年を記念して作られた展示施設の開業式典に出席。「バックグラウンドに関係なく、誰もが尊厳と敬意を持って扱われるべきだ」などと演説した。
AP通信によると、2020年大統領選でバイデン氏を支持した性的少数者は約7割に上る。バイデン氏は式典出席を通じて性的少数者に寄り添うことで、改めて支持を呼び掛ける狙いがあったとみられる。会場周辺には性的少数者への連帯を示す虹色の旗を持った人たちが集まり、訪問を歓迎した。
一方、バイデン氏に批判的な性的少数者もいた。リー・テイラーさん(32)はパレスチナ自治区ガザ地区を攻撃するイスラエルを支援するバイデン氏には「同意できない」と主張。「子どもの命が奪われているこの戦争に関し、バイデン氏は明確な否定の言葉を発していない」と指摘した。
会場周辺には少数のトランプ派も集まった。トランプ氏は過去に性的少数者を嫌悪する発言をしたことがあるが、ジョージ・ダラスさん(49)は「彼は平等な男だ」と強調。仲間と一緒にトランプ氏の名前が入った虹色の旗を掲げながら「くたばれバイデン!」と叫んだ。
ニューヨーク市では30日、性的少数者の権利擁護などを訴える恒例の「プライドマーチ」が開かれる。【ニューヨーク中村聡也】
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