11月の米大統領選に向けた民主党のジョー・バイデン大統領(81)と共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)による第1回テレビ討論会が27日夜(日本時間28日午前)、南部ジョージア州アトランタで実施された。2020年の前回大統領選と同じ顔ぶれによる約4年ぶりの直接対決。政策や大統領としての資質を巡って舌戦を交わした。
討論会は米CNNが主催し、日本時間の28日午前10時に開始。バイデン氏は青色、トランプ氏は赤色のネクタイ姿で、政党のシンボルカラーを身につけて登場した。
討論会では、コロナ禍後の経済や不法移民対策、人工妊娠中絶、ロシアによるウクライナ侵攻、中東パレスチナ情勢などが議題になった。
トランプ氏は不法移民対策で、バイデン氏が多数の「テロリスト」を入国させ、治安が悪化したと批判。バイデン氏も、不倫相手に支払った口止め料を不正に会計処理したとして有罪評決を受けたほか、3件の刑事裁判を抱えているトランプ氏について「重罪犯」と批判し、資質に疑問を投げかけた。
バイデン氏は、トランプ氏が返り咲けば米国の基盤である民主主義そのものが危機にひんすると強調してきた。人工妊娠中絶や投票権など米国人の自由や権利を守る姿勢で対立軸を示したい考え。
一方のトランプ氏は、急速な物価高騰や、ウクライナ、パレスチナでの戦争もバイデン政権の失政だと批判した。バイデン政権が21年に進めたアフガニスタンからの米軍撤収を「わが国の歴史上最も恥ずべき日だ」と酷評した。
前回20年大統領選の第1回討論会では、両氏が相手の発言を遮って批判し合う展開となった。主催するCNNは今回、一方の発言中はもう一方のマイクを切り、音声を拾えなくした。聴衆も入れず、候補者2人と番組ホスト2人が向き合った。
今回の討論会に対する関心は高い。キニピアック大が前日の26日に発表した世論調査では、回答者の73%がテレビ討論会を見るだろうと答え、見ないだろうと答えた25%を大きく上回った。また、大統領選で投票する候補を回答した人のうち、討論会でのパフォーマンスを踏まえてその選択を変える可能性があるか尋ねた質問に、16%が「ある」と答え、82%は「ない」と答えた。
政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による各種世論調査の集計(26日時点)によると、全米レベルでトランプ氏の支持率は46・6%で、バイデン氏は45・1%と拮抗(きっこう)している。【ワシントン西田進一郎】
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