11月の米大統領選に向けた第1回候補者テレビ討論会が27日夜(日本時間28日午前)、南部ジョージア州アトランタで開かれる。顔ぶれは2020年の前回大統領選と同じ。再選を目指す民主党のジョー・バイデン大統領(81)と、返り咲きを狙う共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が4年ぶりに直接対決する。
論戦を進行するのは、CNNの番組ホスト2人だ。トランプ陣営は批判的報道が多いCNNを敵視して「敵地にあえて乗り込む」と息巻いており、進行役がどう仕切るかも注目を集めている。
本選の討論会は未経験
CNN主催の今回の討論会で、進行役には同局の番組ホストでジャーナリストのジェイク・タッパー氏(55)とダナ・バッシュ氏(53)が起用された。いずれも政治取材の経験が長く、過去に大統領選の党候補指名争いの討論会で司会を務めた経験もあるが、本選に向けた討論会の進行役は初めてだ。
トランプ陣営は討論会を前に、バイデン氏だけでなく、進行役もけん制している。広報担当のキャロライン・レビット氏は24日、CNNの番組に中継出演し、「進行役の2人は過去8年間、トランプ氏に関して偏向した報道をしてきた」と批判。司会者が「2人は党派に関係なく取材やインタビューを重ね、プロの仕事をしてきた」と擁護したが、レビット氏は「ネットで検索すれば、すぐに分かる」と反発。司会者がレビット氏の中継を打ち切る一幕もあった。
「フェイク司会者」と中傷
トランプ氏も22日の演説で「フェイクニュースのCNNで、トランプ嫌いの“フェイク”・タッパーだ」と進行役を中傷。「聴衆を入れずに、我々2人と、彼ら(進行役)2人だけ。まるで死のようだ」などと自陣営が受け入れた開催形式にもケチを付けた。こうした攻撃的言動には、自身に不利になる進行をしないようにくぎを刺す狙いもあるとみられる。
20年の前回大統領選では、第1回討論会でトランプ氏がバイデン氏の発言を再三遮り、進行役も収拾できず、「史上最悪」の討論会と評された。
CNNは今回、自らの発言機会以外はマイクの音を切るルールを設け、再発防止策をとっているが、論戦を深めるには進行役の手腕も重要になる。【ワシントン秋山信一】
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