海外で治療を受けることになった娘に別れを告げる父親=パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで2024年6月27日、AP

 AP通信は27日、パレスチナ自治区ガザ地区のがんなどを患う子ども約20人が海外で治療を受けるため、南部ケレム・シャロム検問所を経由してエジプトに向かったと報じた。イスラエル軍が5月上旬にラファ検問所を制圧して以来、ガザから患者が搬送されたのは初めて。

 ラファ検問所の閉鎖以降、病気を患ったり負傷したりした住民らのガザからの搬送が停止。医薬品などの人道支援物資の搬入が滞る中、人道危機に拍車がかかっていた。イスラエル軍は同伴者も含めて68人がガザから移動したと発表。米国やエジプトなどと協力して実施したという。

 ガザ地区の病院長は、ガザでは2万5000人以上が海外での治療を必要としており、そのうち約980人は、がんを患う子どもだとしている。その上で「今回搬送された患者は微々たる人数で、ケレム・シャロムを通過しエジプトに入る複雑なルートは、ラファ検問所の代替になっていない」と主張した。

 イスラエル軍は27日もガザ各地で空爆を実施。英国の中東ニュース専門サイト「ミドル・イースト・アイ」は軍がガザ地区北部シュジャイヤを空爆し、少なくとも7人が死亡し、40人が負傷したと報じた。軍は空爆の前に住民に25キロ離れた南部の「人道地区」に避難するよう命令を出した。

 ロイター通信によると、軍が避難命令を出す前に軍の戦車がシュジャイヤに侵入し、街の南側の道路を封鎖。東部の住民は攻撃を受ける中、西部に避難するのを余儀なくされたという。ガザ保健当局は27日、昨年10月の戦闘開始以来のガザ側の死者数が3万7765人になったと発表した。【エルサレム松岡大地】

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