11月の米大統領選に向けた第1回候補者テレビ討論会が27日夜(日本時間28日午前)、南部ジョージア州アトランタで開かれる。顔ぶれは2020年の前回大統領選と同じ。再選を目指す民主党のジョー・バイデン大統領(81)と、返り咲きを狙う共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が4年ぶりに直接対決する。
米大統領選の候補者によるテレビ討論会は、2大政党の民主、共和両党の候補者がステージに並び立ち、政策やその資質など幅広い分野について意見を表明したり、相手側を批判したりする。11月の選挙に向けた大きな山場であり、全米で数千万人が視聴するなど注目度は極めて高い。討論会での発言やその仕草などが選挙結果に影響を与えると言われてきた。
入念なメーキャップが奏功
テレビ討論会が始まったのは、共和党のアイゼンハワー大統領(当時)の後任を巡る1960年大統領選。同党のニクソン副大統領(同)と民主党のケネディ上院議員(同)との争いだった。
第1回の討論会では、少しやつれ、メーキャップをせずにヒゲが目立ったニクソン氏がずっと汗をかいていたのに対し、ケネディ氏は入念なメーキャップで出演し、若々しさをアピールした。ラジオで聞き「ニクソン氏が勝った」と思った人も多かったが、テレビでは「ケネディ氏が勝った」と感じた人が多かったという。
「テレビ映り」が明暗を分け、当初劣勢とされていたケネディ氏が討論会で勢いを得て、ニクソン氏を破って初当選した。
「偉そう」なため息
見た目だけでなく、その仕草が話題になった例もある。00年大統領選で、民主党のゴア副大統領(同)は、ブッシュ(子)テキサス州知事(当時)との討論会で、繰り返し大きなため息をついた。
政策通で経験も豊富なゴア氏は、議論を優位に進めながらも、ブッシュ氏の発言に対するため息や大きく首を振るなどした仕草が「偉そうだ」との印象を与えたとされる。選挙は大接戦となったが、最終的にブッシュ氏が当選を果たした。
討論会で局面を変える一言が出たこともある。84年大統領選では、再選を目指した共和党のレーガン大統領(同)と民主党のモンデール前副大統領(同)が戦った。当時73歳で「高齢不安」がささやかれていたレーガン氏だが、56歳のモンデール氏との討論会で「私はこの選挙で、年齢を問題視しない。政治的な目的で、モンデール氏の若さや経験不足を利用することもない」と語り、年齢問題を一掃。レーガン氏は大差で再選された。
無所属候補が登壇したことも
過去13回の大統領選で実施されてきたテレビ討論会だが、2大政党の候補者だけではなく、無所属の候補がステージに立ったことも一度だけある。
92年大統領選に無所属で立候補した実業家のロス・ペロー氏だ。再選を目指す共和党のブッシュ(父)大統領(当時)、民主党のクリントン・アーカンソー州知事(同)と並んだ討論会でも互角に渡り合った。ペロー氏は選挙で約19%を得票。ブッシュ氏は支持基盤をペロー氏に奪われたこともあり、再選に失敗した。【ワシントン西田進一郎】
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