イランでは、ヘリコプターの墜落事故で死亡した大統領の後任を選ぶ選挙があす行われます。有力候補の1人は、強硬姿勢で体制を支える精鋭部隊「革命防衛隊」の出身者です。JNNのカメラが「革命防衛隊」の軍事関連施設に入りました。

26日に1人が撤退し、5人で争われることになったイラン大統領選挙。有力視されているうちの1人が、ガリバフ国会議長です。

「革命防衛隊」元幹部 ガリバフ国会議長
「愛する国、革命、そして体制のために人生を捧げてきました」

反米で強硬路線の現体制を支える「革命防衛隊」の元幹部。革命防衛隊は正規軍よりも存在感を示し、内政にも強い影響力を持っています。

まさに、今のイランの根幹をなす、重要組織です。

記者
「革命防衛隊の軍事関連施設です。施設を報道陣に公開するのは極めて異例です」

JNNが特別に取材を許可されたのは、首都テヘラン郊外にある「革命防衛隊」航空宇宙軍の関連施設。ミサイルやドローンなどの国産兵器が誇らしげに並べられています。

革命防衛隊 バラリ准将
「あのミサイルは、イスラエルに対する作戦で実際に使いました」

その中には、4月に史上初めてイスラエル本土を攻撃した際に使ったとされる弾道ミサイルもありました。

イランは300発以上のミサイルやドローンを発射するなど、大規模攻撃を行いましたが…

革命防衛隊 バラリ准将
「我々が行ったのは極めて限定的な作戦でした」

攻撃は、計画の2割ほどにとどめたと強調するなど、強気の姿勢を崩しませんでした。

さらに…

革命防衛隊 バラリ准将
「ドローンもあります(Q.シャヘドですね?)シャヘド136です。世界的に有名です」

ウクライナ侵攻を続けるロシアに供与しているとの指摘もあるドローンですが…

革命防衛隊 バラリ准将
「(Q.イランが供与しているのでは?)私は答える立場ではないですから…」

返答を濁しました。

革命防衛隊 バラリ准将
「(革命防衛隊は)イランを力強く守ってきた。そして、この戦いは血を流してでも最後の瞬間まで続けます」

革命防衛隊出身のガリバフ氏が大統領に選出されれば、現体制の強硬路線を継承することは確実視されています。

一方で、懸念を募らせる市民も多くいます。

口々に聞かれるのは、欧米からの厳しい制裁を背景とした苦しい経済状況です。

果物店店主
「インフレが急速に進んでいます。(果物の)価格が去年から50%上がりました」

去年の消費者物価指数の上昇率が45%を超え、不満の声が高まっているものの、強硬姿勢を崩そうとしない現体制は、制裁解除への道筋を示せていません。

市民
「政府の誤った対応が原因だと思います」

今回の選挙では、欧米との融和路線へと転換し、経済の立て直しを示唆する改革派の候補が支持を伸ばしています。体制継続か、「変化」を求める声か。イラン国民の決断に注目です。

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