EU首脳会議の会場に到着したボレル外務・安全保障政策上級代表=ブリュッセルで2022年5月31日、ロイター

 EU(欧州連合)加盟国で構成する欧州理事会は24日、ロシア産液化天然ガス(LNG)を巡り、EUを中継地とする第三国への販売を禁止する追加制裁を発表した。天然ガスを対象とした対露制裁は初めて。また露産原油の不法運搬に関与する闇タンカー「影の船団」にも初めて制裁を科す。ロシア政府の主要な収入源であるエネルギー輸出に打撃を与えるのが狙い。

 EU域内に一度入ったLNGを輸送船同士で積み替える作業などを禁じる。ロシアはEU加盟国を経由した域外への再輸出ができなくなる。2025年3月末まで約9カ月の猶予期間を設け、その後、実施する。

 主要7カ国(G7)などが実施する露産原油輸出への制裁回避に利用されてきた「影の船団」のタンカーのほか、ロシアの軍事装備やロシア軍に盗まれたウクライナ産穀物などを輸送する船舶を対象とし、27隻の域内への入港も禁止した。EUは影の船団とみられるタンカーが約400隻存在すると見積もった。

 このほか、ロシアのLNG事業に関する新規投資も禁じる。対象には日本の三井物産や独立行政法人「エネルギー・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)が参画する北極海の「アークティックLNG2」も含まれており、事業に影響を与える可能性がある。

 EUのボレル外務・安全保障政策上級代表(外相)は制裁について「EUの制裁逃れを含むロシアのウクライナへの犯罪行為を制限し、ウクライナを支持することへの我々の団結を示すものだ」とコメントした。【ブリュッセル岡大介】

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