イギリスを公式訪問中の両陛下。思い出の地でどんな記憶をたどられるのでしょうか。

■ロンドン大歓声!“両陛下の笑顔”

 待ちわびていたのは現地の日本人だけではなさそうです。

 デイリー・メールは、こう報じています。

デイリー・メール(23日付)
「雅子さまは陛下のネクタイの色にマッチした白い襟付きのパウダーブルーのスーツとお帽子をお召しになっており、エレガントな装いでした」

 到着から一夜明け、人だかりができているのはロンドン市内にある日本文化の発信拠点「ジャパン・ハウス」です。

 陛下が到着されると、ここでも歓声が。室内に入られると中の様子がうかがえる窓に皆さん殺到。

 案内人の説明に熱心に耳を傾け、うなずかれる陛下。その様子を押し潰されそうになりながら見つめる少女がいました。

 この日、陛下はイギリスで暮らす日本人と懇談。イギリス「ロイヤルバレエ団」で「プリンシパル」を務め、現在はけがでリハビリ中の平野亮一さんは…。

バレエダンサー 平野亮一さん
「正直いうと緊張のあまり(お言葉を)覚えていません」

 この日、雅子さまの姿はありませんでした。長時間のフライトなどで少し疲れが出ていて、体調を整える必要があるという医師の判断です。

 ただし…。

天皇陛下
「今回の訪問で初めて雅子と一緒にオックスフォードのマートンコレッジやベイリオルコレッジなど、市内を散策することを心待ちにしております」

■陛下明かした“自由な寮生活”

 お二人にとってイギリスは若い時を過ごした思い出の地です。

 友人に日本語を教えられる天皇陛下。1983年から2年間、オックスフォード大学に留学されています。

天皇陛下
「未知でいて、心躍るような留学生活というドラマの幕が静かに開きつつあるのを実感していた」

 日本語版と英語版で出版されている留学時代をつづった陛下の著書「テムズとともに」。留学生活を自らの言葉でつづられています。

 陛下が暮らされた大学の寮は8畳ほどの書斎と寝室、専用の浴室が付いた部屋です。壁いっぱいのスプーン、ブルックシールズのポスター。

 著書では「部屋を自分の意志のまま使えるのはいいものである」とする一方で、こんな苦労も…。

天皇陛下
「シャワーが付いていなかったため、髪を洗う時には浴槽は三分の一ほどの湯で我慢し、残り湯を蛇口から洗面器に取って湯ですすぐようにした」

■陛下ひょっこり“気さくな会話”

 部屋の窓からひょっこり顔を出された陛下。すると…。

カメラマン
「椅子を持ってきて椅子の上に立っていただけますか?」

 カメラマンの要望に気さくに答えられます。

天皇陛下
「コレッジでは食堂での食事が大切な交流の場となっていました」

 陛下が大切だと話された食堂での交流。著書によりますと、「ガウンとネクタイの着用が義務付けられ、違反したり遅刻した学生にはビール一気飲みの罰が下る」とのこと。

 お気に入りの食べ物は…。

天皇陛下
「ゆで過ぎとも思われる芽キャベツが大好きでいつも多く取っていたが、イギリス人の友人から何でこんな物がそんなにおいしいのかと聞かれたことがあった」

■カード出し自らショッピングも

 衣料品店では自ら服やネクタイを選ばれます。この時、陛下が何か合図をすると関係者がそばを離れる場面も…。

 個性的な柄物のセーターを勧められ、首を小さく振られます。何着か服を選び、カードで会計。この店は40年経った現在も営業中です。

マネージャー
「もし、天皇陛下がこちらを訪問される時間があるのであれば私たちは大歓迎です」

■上皇ご夫妻と街へ“3人の散策”

 留学中には上皇ご夫妻が訪問されたことも。3人で街を散策です。陛下が街を案内されます。

 通りすがりの人と気さくに話される場面も。

 陛下の留学から3年後。雅子さまもまた、外務省時代にオックスフォード大学に留学されています。ここで陛下とニアミス。

■陛下と雅子さま“思い出の中華”

陛下と雅子さまが通った中華料理店の店主
「(雅子さまは)レストランの角の席に着席していました。英語もお上品で優しい女性でした」

 雅子さまが通ったという中華料理店に陛下も何度か訪れられたといいます。

陛下と雅子さまが通った中華料理店の店主
「麻婆豆腐とライスがお好みでした。物静かなお方でした。非常に物静かだった。いい匂いでしょう。覚えていて下さっていると思います」

■陛下満喫した「ユニークな日々」

 大学卒業時には、こう語られています。

天皇陛下
「オックスフォード大学での留学生活はとても楽しく充実していました。思い返しても楽しい思い出ばかりです」

 著書のなかで「恐らく町そのものは今後も変わらないが、変わるのは自分の立場であろうなどと考えると妙な焦燥感に襲われ、いっそこのまま時間が止まってくれたらなどと考えてしまう」と語られています。

 笑い声を上げながら街を歩かれる陛下。当時は昭和。皇太子になる前のお立場です。今回はまさしく変わった立場での訪問となります。

■陛下この後 思い出のテムズ川へ

 陛下は日本時間の今月24日午後7時からテムズバリアを視察されます。

 テムズバリアは高潮被害を防ぐために作られた水門。陛下の大学時代の研究テーマは18世紀におけるテムズ川の水運の歴史についてでした。

天皇陛下
「研究で疲れた私を癒やしてくれたテムズの緩やかな流れと周囲の美しい景観。テムズを見ながら川沿いをジョギングした日々など数え上げたらきりがありません」

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