ロシアのプーチン大統領は19日、北朝鮮の首都・平壌で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記と会談し、両首脳はいずれかの国に攻撃があった場合の相互支援を規定する内容を含む包括的戦略パートナーシップに関する新条約に署名した。プーチン氏は「両国関係を質的に新たなレベルに引き上げたいという願望を反映したものだ」と話し、北朝鮮に対して軍事技術の提供も排除しない考えを表明。露朝で共闘して米国に対抗し、軍事協力関係を引き上げる意向を確認した。
両首脳は会談後に共同声明を発表し、プーチン氏は「露朝は欧米による常習的な制裁に抵抗し続ける」と強調。「共に独立した外交政策を追求し、『脅迫』や『独裁』といった言葉は受け付けない」と訴えた。一方、金総書記は新条約により「両国間の関係は同盟関係という新たな水準に上がった」と指摘。「朝露関係の歴史上、最も強力な条約の誕生」とも評価した。
北朝鮮はソ連との間に「軍事的な支援」の規定を含むソ朝友好協力相互援助条約を締結していたが、ソ連崩壊に伴い更新されていなかった。今回の条約により事実上、ソ連時代の条約が復活したことになる。北朝鮮は中国との間にも同様の規定を含む「中朝友好協力相互援助条約」を持っている。
プーチン氏は「ウクライナ政策も含めロシアに対する一貫した揺るぎない支持を高く評価する」と謝意を表明。その上で「ロシアは欧米による覇権主義的、帝国主義的な政策と戦っている」と強調した。また、次の露朝会談をモスクワで開くことを提案した。金総書記は「両国関係は新たな開花の時期を迎えている」と蜜月ぶりをアピールし、「主権や領土的一体性を守るために特別軍事作戦を遂行するロシアに全面的な支持と連帯を表明する」と応じた。
プーチン氏の訪朝は、当時の北朝鮮の最高指導者、金正日総書記と会談した2000年7月以来、24年ぶり。金正恩体制では初となった。日程は18~19日を予定していたが、プーチン氏が遅れて19日未明に平壌の空港に到着。金総書記が出迎えると、握手をして抱擁を交わした。また、両首脳は会談後に贈り物を交換し、ロシア側は2月にも金総書記に贈ったロシア産の最高級車「アウルス」をプレゼントした。【モスクワ山衛守剛】
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