イエレン米財務長官

 イエレン米財務長官は16日の記者会見で、イランによるイスラエル攻撃を受け「ためらうことなく同盟国と協力する。今後数日のうちに追加的な制裁措置を取ることになるだろう」と述べた。日本や欧州など同盟国と連携して対応する。

 イエレン氏は「イランへの資金流入を阻止するためあらゆる選択肢をテーブルの上に載せている」と説明し、イランの主要な資金源である原油輸出を標的にした制裁もあり得ると述べた。

 財務省によると、バイデン政権発足以来、米国はイラン絡みで500以上の団体・個人に対する制裁を実施している。イエレン氏は「イランの行動は地域の安定を脅かし、経済にも悪影響を及ぼす可能性がある」と制裁の意義を強調した。

 米ブルームバーグ通信によると、米国は無人航空機(ドローン)などの武器製造に必要な部品をイランが調達できなくなるよう各国に部品供給の規制を呼び掛ける。主要7カ国(G7)に加え中国とも協議するという。

 一方、イランの原油輸出を制限する制裁を実施すれば、原油価格が上昇する可能性がある。ガソリン価格の高騰などでバイデン政権に打撃となる恐れがあり、「踏み込んだ措置は難しい」(米アナリスト)との見方もある。

 米首都ワシントンでは17~18日に主要20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、日米欧のG7財務相・中銀総裁会議も予定されている。イエレン氏はこれらの国際会議などで各国と具体策を協議するとみられる。

 一方、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は16日、イランへの新たな制裁について、ミサイルやドローンに関する計画のほか、イスラエルへの攻撃を主導した「イラン革命防衛隊」などを支援する団体が対象になると明らかにした。声明で「同盟国やパートナー国も独自の制裁を科すことを期待している」とした。【ワシントン大久保渉、松井聡】

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