トラス前英首相(ゲッティ=共同)

【ロンドン=黒瀬悦成】トラス前英首相は15日、英BBCニュースの番組に出演し、11月の米大統領選で共和党候補指名を確実したトランプ前大統領を支持すると表明した。

トラス氏は今月16日発売の回顧録でトランプ氏を称賛したほか、2月に米ワシントン近郊で開かれたトランプ支持派主催の「保守政治行動会議」(CPAC)の会合に出席しているが、大統領選で同氏の支持を打ち出すのは初めて。

トラス氏が属する保守党は年内にも実施の英総選挙で苦戦が予想される。党内では同氏ら強硬右派を中心に、トランプ人気にあやかって英米の右派勢力の連帯を図り、従来の穏健保守路線からの脱却を図るべきだとの声が強まっている。

トラス氏は、世界情勢に関し「非常に深刻な紛争の瀬戸際にある」と指摘し、「これまで以上に強い米国が必要とされる」と述べた上で、トランプ氏の在任中は「世界がより安全だった」と主張。イランと中国への対応でもトランプ氏はより強硬だったとした。

トラス氏は2022年に首相に就任し、経済活性化を目指して大型減税方針を発表したが、財源不足への市場の強い懸念から通貨ポンドの急落を引き起こし、英史上最短となる就任から49日で辞任した。

トラス氏は、2月のCPACの会合で当時の混乱について「ディープステート(闇の政府)」を構成する支配層が現状維持を図るため、自身を首相の座から放逐したのだと主張した。

BBCの番組でもトラス氏は「誰もが全責任は私にあると非難し中傷した」としつつ、責任の多くは減税策を妨害したイングランド銀行(英中央銀行)と独立評価・監視機関の予算責任庁にあると反論するなど、既存の英体制への対決姿勢を改めて鮮明にした。

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