米中西部ノースダコタ州で今月、連邦上下両院選に関して、任期中に81歳以上になる候補の出馬を禁止する州憲法改正案が住民投票で可決された。連邦議会議員の年齢の上限を定める州の法律が成立するのは初めて。11月の大統領選で民主党のバイデン大統領(81)と共和党のトランプ前大統領(78)の「老老対決」が注目される中、政治家の高齢問題を巡る議論に一石を投じた形だ。
住民投票は11日実施され、投票率約20%で、賛成が約6割、反対が約4割だった。連邦議会議員の任期は上院6年、下院2年で、同州では選挙時点で70代後半の候補は上院選に立候補できなくなる。大統領選に合わせて実施される11月の上下両院選から適用される。他州の議員には適用されないが、NBCニュースによると、現職で80歳以上の議員は上院(定数100)に3人、下院(定数435)には少なくとも10人いる。
ただ、年齢の上限を定めたことは、州法に優越する合衆国憲法に違反するとの見方があり、今後訴訟になる可能性がある。連邦最高裁は1995年、州が独自に連邦議会の議員資格を定めることはできないと判示。合衆国憲法では大統領は35歳以上、上院議員は30歳以上、下院議員は25歳以上との規定があるが、上限は定められていない。
連邦議会では議員の高齢化や多選が指摘されており、大統領選でトランプ氏と共和党候補の座を争ったヘイリー元国連大使(52)は「75歳以上の政治家には認知能力検査を義務づけ、多選制限も設けるべきだ」と主張していた。2023年7~8月には上院の共和党トップのマコネル院内総務(82)が2度、記者会見中に突然硬直して黙り込んだことが問題になった。23年9月には健康不安を指摘されていた民主党のファインスタイン上院議員(当時90歳)が現職のまま死去した。
11月の大統領選を巡っても、史上最高齢の大統領であるバイデン氏と3歳差のトランプ氏の対決について、世論調査では「もっと若い候補が出るべきだ」との不満が上がっている。【ワシントン秋山信一】
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