イタリア南部プーリア州で開催中の主要7カ国首脳会議(G7サミット)は13日午後(日本時間14日夜)、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区の情勢について協議した。各国首脳はバイデン米大統領が発表した停戦案を改めて支持する方針を確認した。
中東ではイスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの交戦が激化しており、地域紛争が拡大する恐れもある。ロイター通信によると、各国首脳は双方の戦闘についても議論し、共同声明に懸念を盛り込む方向で調整している。
バイデン氏は13日の記者会見で、G7やイスラエルのほか10日に決議を採択した国連安全保障理事会も停戦案を支持していると指摘し、「重要なのは我々は合意に達したということだ」と強調。「最大の障壁はハマスが合意を拒んでいることだ」と批判した。
バイデン政権は停戦案を巡るG7の結束を演出したい考えだ。「G7の全ての首脳は、停戦を実現し、(ハマスが拘束する)人質を取り戻すことに集中している」。サリバン大統領補佐官はサミット開幕を翌日に控えた12日、記者団にそう強調した。
だが、バイデン政権とG7の他国との間には不協和音もある。国際刑事裁判所(ICC)が5月にイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状を請求した際には、米国は「言語道断」と反発したがフランスはICCの「独立性」を支持すると表明。パレスチナの国連加盟を巡っても米国と他国で立場の違いがある。
大きな要因は、バイデン政権の「矛盾」する姿勢だ。ガザでの人道状況の悪化を懸念する一方、イスラエル軍のハマス掃討作戦を支持し、武器支援も続けている。米国製の武器によって市民が犠牲になっている。厳しい批判にさらされ、11月の大統領選への影響も懸念されるが、姿勢は変わっていない。
バイデン氏は5月末に自ら「イスラエルの提案」だとして停戦案を発表するなど、批判の沈静化に躍起だ。だが、連立政権内に極右勢力を抱えるネタニヤフ氏は「ハマス壊滅」という強硬姿勢を崩しておらず、ハマスも停戦案の修正を求めている。停戦が実現するのか先行きは見通せないのが現状だ。【バーリ(イタリア南部)松井聡】
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