メキシコ国境に築かれた「国境の壁」=米西部アリゾナ州サセイブで2024年5月25日、秋山信一撮影

 バイデン米大統領(民主党)は4日、南部のメキシコとの国境で、不法越境者の亡命申請を禁止する大統領布告を出した。11月の大統領選に向けて「国境管理の混乱」が批判される中、事実上の「国境閉鎖」を宣言することでイメージを好転させる狙いがある。しかし、移民に寛容な姿勢を一転させることで、民主党左派から反発を招くリスクもある。

 政府高官によると、「国境閉鎖」は不法越境者が1日平均2500人を超えた場合に発動される。現状は既に基準を超えており、即時発動される。親が同伴していない子供や人身売買の被害者は例外となる。

 不法越境者は従来、国境で亡命申請した後、審査中は米国内で放免されるケースが多かった。

 ただ、不法越境者は世界各地から押し寄せており、予算や交通手段の制約から、出身国への送還が円滑に進まないとの懸念がある。共和党のトランプ前大統領の陣営は4日、「バイデン氏は実効性のない政策を発表することで、国境を安全にするフリをしているだけだ」と批判した。【ワシントン秋山信一】

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