天安門前を警備する治安当局者ら=北京で2024年6月4日、AP

 中国共産党・政府が1989年に学生らによる民主化運動を武力弾圧した天安門事件から4日で35年を迎えた。現場となった北京の天安門広場周辺には多数の警察官や私服の公安関係者らが配置され、厳戒態勢がとられた。習近平政権下で言論統制はさらに強まり、真相究明を求める遺族の声は封じ込められている。

 4日の天安門広場は普段よりも多くの警察官が警戒に当たり、手荷物検査場は長蛇の列になった。事件当時、最も多くの犠牲者が出たとされる北京市西部の樨(木へんに犀)地周辺では、3日深夜から治安当局者とみられる私服の男らが数十メートルごとに立ち、追悼や抗議の動きがないか目を光らせた。

 中国当局は事件を「動乱」と呼び、弾圧を正当化する姿勢を崩していない。

 遺族らでつくる団体「天安門の母」はインターネット上に公表した声明で「6月4日の悲劇は政府が直視し、国民に説明しなければならない歴史的悲劇であり、罪なき人々を無差別に殺害した法的責任を問うべきだ」と訴えた。創設者の一人、張先玲さん宅を3日午後に訪れると、見張り役の治安当局者とみられる男が玄関前に座り込み、外部との接触を遮断していた。

 中国外務省の毛寧副報道局長は3日の記者会見で「80年代末に起きた『政治風波』については中国政府はすでに明確な結論を出している」と述べたが、中国外務省が公式ホームページで毎回公表している記者会見の質疑応答からこの問答は削除されていた。【北京・岡崎英遠】

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