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 ロンドンでおよそ200年の歴史を持つ夕刊紙「イブニング・スタンダード」が、日刊を廃止する方針を明らかにした。近年、新聞業界では厳しい現状と新たな問題点が浮上しているという。

■ロンドン市民「TikTokがあるから」

毎日の刊行をやめると発表 この記事の写真

 先月29日、ロンドンの夕刊紙「イブニング・スタンダード」が、毎日の刊行をやめると発表した。

スタンダード紙の歴史

 スタンダード紙は1827年に朝刊紙として創刊され、1859年には夕刊が登場。政治、経済からゴシップニュースまで伝え、会社帰りのサラリーマンが電車の中で読む新聞として定着した。

エリザベス女王が印刷工場を視察

 1976年には、新しい印刷機の導入を記念し、エリザベス女王が印刷工場を視察。女王が新しい印刷機の稼働ボタンを押し、新聞業界の新たな発展を祝った。

新聞を無料にして、広告収入で利益を得る方針に転換

 しかし最盛期に65万部を誇った発行部数も徐々に減少し、25万部あまりに。そこで2009年に、有料だった新聞を無料にし、売り上げではなく広告収入で利益を得る方針に転換。発行部数は、85万部まで急増した。

発行部数は27万部まで落ち込んだ

 しかし、コロナ禍で在宅勤務が定着し、電車通勤する人が減ったことなどから発行部数は27万部まで落ち込み、ついに毎日の刊行を取りやめることになったのだ。

 今後は、24時間デジタル版と週刊版に移行する方針だという。

 これに対して、ロンドン市民はこう話す。

ロンドン市民
「帰宅時、電車の中で夕刊紙を読むことが楽しみだったので続けてほしい」
「悲しい。新聞はイギリスの象徴で、地下鉄でもよく見る。でもTikTokがあるから、時代遅れになっているかも」

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■新聞業界の厳しい現状

■新聞業界の厳しい現状

日本の新聞の発行部数は2005年から19年連続で減少

 新聞業界の厳しい現状は、イギリスだけの話ではない。

 日本新聞協会によると、日本の新聞の発行部数は2005年から19年連続で減少していて、去年は2859万部だったという。

 前年比では7.3%減で、過去最大の減少幅だということだ。1997年のピーク時のおよそ5377万部からみると、ほぼ半減している形だ。

若手育成の機会が失われている

 そんななか、増加傾向にあるのが電子版の新聞だ。ただ、その電子版にも課題があるようだ。

 元日本経済新聞の記者で経済ジャーナリスト、千葉商科大学の磯山友幸教授によると「若手育成の機会が失われている」そうだ。

 ネットに出すことを前提とした記事は、長い読みものような記事になり「ベタ記事」と呼ばれる細かな記事が減っているという。

 この「ベタ記事」こそが若手の訓練機会でもあり、それが失われることで記者の質、さらには記事の質が低下しているというのだ。

「社会の分断を加速させている一面もある」と指摘

 さらに、ネットの記事は読者の興味のある情報ばかり表示される特徴がある。

 便利な側面もあるが、磯山教授は「自分の意見に近い情報ばかり集まり反対する意見の情報が入ってこないため、社会の分断を加速させている一面もある」と指摘している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年6月4日放送分より)

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