イスラエルのネタニヤフ首相=2023年6月、エルサレム(AP=共同)

【カイロ=佐藤貴生、ワシントン=大内清】パレスチナ自治区ガザでイスラム原理主義組織ハマスと戦うイスラエルのネタニヤフ首相は9日、「私たちを制止できる勢力は世界に存在しない」と述べ、国際的に懸念が広がるガザ最南端の人口密集地、ラファで地上作戦を実施する計画に変更はないと強調した。ロイター通信が伝えた。

ネタニヤフ氏は8日、ラファ地上作戦について「日付は決まった」と表明した。ブリンケン米国務長官は9日、ワシントンでキャメロン英外相との会談後に行った共同記者会見で、作戦の実行日は聞いていないと述べた。来週にもイスラエル側とガザ情勢について協議するとし、「それまでに作戦が実施されることはないだろう」と語った。サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は同日、「ラファ侵攻に反対する米国の立場に変わりはない」と強調した。

イスラエル英字紙エルサレム・ポスト(電子版)は9日、同国国防省はラファでの作戦実施を想定し、避難させる住民のためにテント4万張を購入したと報じた。ラファには避難民ら約150万人がいるとされ、避難には最大4カ月を要する見込みだとしている。

一方、エジプトの首都カイロで行われている停戦交渉をめぐり、ハマスは9日、イスラエル側が示した停戦案は「要求に合致しない」との見方を示す半面、検討した後で仲介するエジプトやカタールに返答するとした。

イスラエル軍はガザ南部から大半の部隊を撤収させ、南部の主要都市ハンユニスには住民が戻りつつある。支援物資のガザ搬入も増量されているもようだ。ただ、軍は9日もハマスの残存勢力がいると主張するラファのほか、中部デールバラハを無人機などで爆撃し、数人が死亡した。

イスラエルはラファへの地上作戦の準備を進め、ハマスに対して人質解放を含む停戦を受け入れるよう圧力をかける方針とみられる。

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