大統領選で勝利し、支持者の前で拳を突き上げるシェインバウム氏=メキシコ市で2024年6月3日、ロイター

 メキシコ大統領選が2日投開票され、左派与党「国家再生運動」のシェインバウム前メキシコ市長(61)が、中道右派政党などの野党連合、ガルベス上院議員(61)らを破って当選を確実にした。地元メディアが伝えた。メキシコで女性が大統領に就くのは建国史上、初めて。

 現職ロペスオブラドール大統領の任期満了に伴うもので、両氏による事実上の一騎打ちだった。選挙管理委員会によると、シェインバウム氏の得票率は58・3~60・7%、ガルベス氏は26・6~28・6%になる見通し。正式な集計結果は後日発表される。

 地元紙ウニベルサルによると、シェインバウム氏は支持者を前に「私はメキシコで最初の女性大統領になる」と述べ、勝利宣言した。ガルベス氏も敗北を認めた。

 メキシコからは、国境を越えて米国に不法入国する中南米系の人々が絶えない。また、犯罪組織による米国への麻薬密輸も続く。国内では11月の米大統領選でトランプ前大統領が復権すれば米国がメキシコに対して強硬姿勢に転じるとの観測が強まっており、対米関係も重要課題となる。

 シェインバウム氏は5月、米紙ニューヨーク・タイムズに対し、「トランプ氏とも、(再選を目指す)バイデン大統領とも良好な関係を築くつもりだ」と表明。「私たちは対等な関係を求めている」と語った。

 ロペスオブラドール氏の路線継承を掲げるシェインバウム氏は、最大の争点だった治安問題で、若者が犯罪組織に加わるのを防ぐために就職支援などを進めると表明。ほぼ6割台の支持率を維持した現職の貧困対策などを続ける方針を示し、貧困層を中心に支持を集めた。

 新大統領は10月1日に就任する。任期は6年。【ニューヨーク中村聡也】

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