イランによる無人機やミサイルの発射後、作動した防空システム=14日、イスラエル南部アシュケロン(ロイター)

【カイロ=佐藤貴生】イスラエル軍は14日、イランによる直接攻撃を受けたものの、そのうち「99%」の迎撃に成功し、被害を最小限に抑えたと強調した。イスラエル軍が保有する高い防空能力とともに、米国や英仏との連携した戦略が奏功したようだ。

イスラエル軍の報道官は14日、イランから発射されたミサイルなどをほぼ迎撃したことについて「極めて重要な戦略的成果だ」と誇った。イランによる攻撃はイスラエル国内の軍基地など戦略的に重要なインフラ施設を狙ったとみられ、約5時間に及んだ。

報道官によると、イランはイスラエルに向けて無人機170機、弾道ミサイル120発、巡航ミサイル30発を発射。このうち無人機と巡航ミサイルはすべてイスラエルの領空に入る前に迎撃。弾道ミサイルも多くを撃ち落としたが、一部が防空システムをかいくぐる形で南部の空軍基地に着弾したという。

イスラエルの対空防衛システムは短距離ミサイルを迎撃する「アイアンドーム」など重層的で強固なことで知られる。報道官は、今回のイランから飛来した弾道ミサイルの多くには、弾道弾迎撃ミサイルシステムの「アロー」で対処したと説明した。

イスラエル独自の防空システムに加え、米国や欧州諸国も重要な役割を果たした。

バイデン米大統領によると、米軍は過去1週間、イランの攻撃に備え、イスラエル周辺に航空機やミサイル防衛駆逐艦を配備。米中央軍は、親イラン民兵組織フーシ派が拠点を置くイエメンからのものを含め、無人機80機以上と少なくとも弾道ミサイル6発を破壊したと発表した。

英国とフランスも貢献した。スナク英首相は「私たちの軍用機はイランの無人機を多数撃ち落とした」と述べ、成果を強調した。また、イスラエル軍の報道官は「フランスはとても優れた技術や軍用機、レーダーを持っている」とし、仏軍の支援も示唆した。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。