政府は27日、北朝鮮から同日午前0時~6月4日午前0時の間に「人工衛星」を発射すると通告があったと発表した。北朝鮮による「人工衛星」と称した発射予告は2023年11月以来。韓国を訪問中の岸田文雄首相は27日未明、米韓両国と連携して発射中止を求めることなどの首相指示を出した。
海上保安庁は27日未明に北朝鮮当局からメールで通告を受けたと明らかにし、航行警報を発表した。
落下が予想されるとした区域は、北朝鮮が23年5、8、11月に予告した場所と同じで、朝鮮半島西側の公海上2カ所と、フィリピン・ルソン島東側の太平洋上1カ所の計3カ所。いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)外だが、この区域にブースター(推進装置)などが分離・落下する恐れがあるため、航行する船舶に注意を呼びかけている。
北朝鮮は23年11月の発射時に「衛星」の軌道投入に成功したと発表。同12月には24年に「軍事偵察衛星」を追加で3基打ち上げる計画を示していた。
日中韓首脳会談のため、韓国・ソウルを訪れている首相は、政府内に対して①情報収集・分析に万全を期し、国民に対して適切に情報提供を行う②米国、韓国など関係国と連携し、北朝鮮が発射を行わないよう強く中止を求める③不測の事態に備え、万全の態勢を取る――の3点を指示した。政府は、打ち上げに備えた自衛隊に対する破壊措置命令を23年5月から継続し、地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」を沖縄県に展開させている。
また、外務省の鯰博行アジア大洋州局長は27日、米国のジュン・パク北朝鮮担当特別代表代行、韓国の李埈一(イジュンイル)北朝鮮担当特別代表代行と電話で協議した。この中で3者は衛星の打ち上げ目的でも、弾道ミサイル技術を使用した発射は国連安全保障理事会決議違反だと指摘し、発射中止を求めることで一致。今後も緊密に連携することを確認した。【小田中大、中村紬葵、ソウル森口沙織】
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