岸田文雄首相(左)と中国の李強首相

 27日の日中韓首脳会談に先立ち、韓国・ソウルで26日に中国の李強首相と会談した岸田文雄首相。1時間続いた会談の冒頭では、李氏の出身地・浙江省に伝わる「四千の精神」という言葉を引き合いに出した。

 日本政府関係者によると、四千の精神とは、あらゆる壁や困難に耐える浙江省出身者のたくましい起業家精神を意味するという。

 李氏は浙江省温州市で書記を務めた経歴があり、昨年の中国全人代の記者会見でも、四千の精神に言及した。岸田氏は、四千の精神を自ら切り出して、「実務家の姿勢で、経済発展に取り組むということの重要性を強調してこられたそうですね」と李氏に呼びかけた。

 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出や中国で拘束されている邦人の早期解放など課題が山積する日中関係。岸田氏と李氏との正式な会談は今回が初めてだった。それだけに岸田氏としては、会談の雰囲気を和らげる狙いもあったようだ。李氏は、岸田氏の呼びかけに数回うなずき、以前、静岡県を訪れた経験を自ら紹介したという。【ソウル森口沙織】

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