今週、月曜日に就任したばかりの台湾の頼清徳総統。外では中国が軍事演習を開始、内では国会にあたる立法院で混乱が生じるなど、「内憂外患」の幕開けとなっています。

20日、台湾の新しい総統に就任した頼清徳氏。一方、国会にあたる立法院では。

頼総統率いる民進党は少数与党。野党と激しく対立し、議場で乱闘まで起きています。この騒ぎの原因は、中国に融和的な国民党などの野党が提出した立法院の権限を強化する法案。

総統に、これまではなかった定期的な立法院での報告や質疑に応じることを求めるなど、権限を縛ることにつながる内容が盛り込まれていることから、与党・民進党が強く反発しているのです。

これに呼応する市民の動きも。

記者
「立法院前です。まさにいまここで審議が行われていますが、この審議が不当だとして、これだけ多くの人が抗議集会に集まっています」

高校生
「国民党は意義のある議論をしていません。なぜ5月20日の前に法案を通過させようとしたのか。それは、裏にいる中国と関係があるからでしょう」

そんな中、中国側はきのうから、台湾を包囲する形で軍事演習を開始。今回は台湾周辺だけでなく、中国に近い金門島や馬祖島も演習地域に含まれ、おととし、当時のペロシ・アメリカ下院議長が台湾を訪れた際よりも広い範囲です。

中国メディアは、経済封鎖により、頼総統の政治的基盤である南部・台南市に圧力をかける演習も盛り込まれていると伝えていて、「台湾独立派」とみなす頼氏をけん制する意図が色濃くにじんでいます。

そんな中、市民はなぜ立法院をめぐって不安なのか。

野党が多数を占める立法院で政権与党の推し進めたい法案が通らず、混乱が続けば頼政権の弱体化につながり、中国の思うつぼなのではないかという懸念が存在するのです。

「中国共産党は台湾を脅迫しています」
「常に友好的ではありません。武力や言葉で恫喝してきます」

台湾 頼清徳 総統
「中華民国と中華人民共和国は、互いに隷属していない」

現状維持を訴えつつも、中国と距離を置く姿勢が鮮明な頼総統に対し、露骨に圧力をかけ始めた中国。就任5日目にして、新総統は「内憂外患」の試練に直面しています。

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