戦術核兵器の使用を想定した訓練で弾道ミサイル「イスカンデル」を運ぶロシア兵=2024年5月21日、露国防省提供・AP

 ロシア国防省は21日、ウクライナで続ける「特別軍事作戦」の軍事拠点となっている南部軍管区で、戦術核兵器の準備と使用を想定した演習の第1段階を開始したと発表した。「欧米当局者による挑発的な発言や脅迫に対処するため」としており、ウクライナへの支援を続ける欧米に対し威圧を強めている。

 演習はプーチン大統領の指示に従い、参謀本部の指揮の下で実施。核弾頭を搭載可能な弾道ミサイル「イスカンデル」に「特殊な弾薬」を装備して指定のエリアに移動する訓練や、極超音速ミサイル「キンジャル」などの航空兵器に「特殊な弾頭」を装塡(そうてん)して出撃する演習を行う。ロシア国防省は「ロシアの領土と主権を守るため、戦術核兵器の部隊と装備を維持することが目的」としている。

 欧米側ではこれまでに、フランスのマクロン大統領がウクライナへの地上部隊派遣を「排除しない」と述べるなど、一部からウクライナへの関与を強める発言があり、ロシア側が反発していた。ロシア国防省は6日、戦術核兵器の使用を想定した演習の準備を始めたと公表。プーチン氏は9日、対ドイツ戦勝記念日の式典で、核兵器の運用部隊は「常に即応体制にある」と強調していた。【モスクワ山衛守剛】

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