サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は9日の記者会見で、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収について、バイデン大統領が米労働者保護と日米同盟強化を両立させる意向だと説明した。10日の岸田文雄首相との日米首脳会談でバイデン氏が買収問題を取り上げるかについてはコメントを避けた。
バイデン氏が岸田氏に買収問題についてどう伝えるかとの質問に対し、サリバン氏は「バイデン氏は米労働者に寄り添うと明言し、日米同盟をかつてないほど強固にするとも述べている。この二つをともに達成するつもりだ」と説明した。
USスチール買収には全米鉄鋼労働組合(USW)などが反対しており、11月に大統領選を控えるバイデン氏はUSWの意向を尊重する考え。3月中旬には「USスチールは100年以上にわたって続く米国の象徴的な鉄鋼会社。国内で所有・運営される米企業であることが不可欠だ」と買収に難色を示す声明を発表していた。
日本製鉄は2023年12月に141億ドル(約2・1兆円)でUSスチールを買収する計画を発表。買収が実現すれば日米連合で粗鋼生産量世界3位に浮上し、日本からは「日米の経済安全保障の強化にも資する」(買収交渉筋)との声が出ている。【ワシントン大久保渉】
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