英国のキャメロン外相が8日、米南部フロリダ州のトランプ前大統領(共和党)の自宅を訪れ、非公式に会談した。11月の大統領選で返り咲きを目指すトランプ氏に外交政策の確認を図った可能性がある。バイデン大統領(民主党)の政敵と接触するのは米政権の心象を悪くするリスクもあるが、キャメロン氏は「選挙前に野党側の政治家と会談するのは前例に沿ったものだ」と強調した。
キャメロン氏は9日のブリンケン国務長官との会談後の共同記者会見で、トランプ氏との会談について「プライベートな会合だった。重要な地政学的な話題を幅広く議論した」と述べた。また、首相時代の2012年に共和党の大統領候補だったロムニー氏に会った例などを挙げ、「野党指導者との面会は多くの前例がある。米国の選挙プロセス、民主主義のプロセスは尊重しているし、誰が選ばれても両国の利益のために共に働く」と述べた。
会談ではキャメロン氏が、ロシアの侵攻を受けるウクライナ支援の重要性を訴えた可能性がある。米メディアによると、トランプ氏の陣営は「米国と英国の次の選挙、ウクライナで人が殺されるのを止めること、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国防費の支出目標を達成する必要性などを協議した」と説明しており、ウクライナ情勢では両者の議論がかみ合わなかった可能性もある。
米国を公式訪問中の岸田文雄首相には上川陽子外相らが同行しているが、今回の訪問に合わせたトランプ氏との接触はないとみられる。【ワシントン秋山信一】
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