水俣病の患者・被害者と環境相の懇談の場で被害者らの発言中にマイクが遮断された問題を受け、被害者救済を求めている関連訴訟の弁護団が15日、熊本市内で記者会見した。「事の本質は『マイク切り』ではなく『患者切り』」と指摘し、環境省に対し、原告・弁護団との定期的な協議の場を持つよう申し入れる考えを明かした。
訴訟は、水俣病被害者救済特別措置法(2009年施行)に基づく救済を受けられなかった住民らが熊本、大阪など全国4地裁で起こした「ノーモア・ミナマタ」第2次訴訟。記者会見には熊本訴訟の園田昭人弁護団長と寺内大介事務局長が出席した。
園田団長はマイク遮断について「国民から見れば衝撃的だが、(長年交渉してきた)我々からみれば環境省特殊疾病対策室の体質が現れた対応だ」と指摘。厳しい認定基準や地域の線引きで救済範囲を限定してきた環境省を「被害者を被害者とも思わず切り捨ててきた」と、批判した。
その上で、患者切りをなくし水俣病問題の解決を図るため「まずは真摯(しんし)に話を聞く場が必要」と主張。24日に環境省を訪れ、全国4訴訟の原告・弁護団との協議の場を求める要請書を提出すると明かした。
園田団長はさらに、熊本県の木村敬知事が被害者側の環境相への抗議を「つるし上げ」と表現(直後に撤回)したことについても「県民側、患者側に立った視点がない」と非難。県にも同様に協議の場を求める考えを示した。【中村敦茂】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。