気象庁

 豪雨災害の一因となる「線状降水帯」について、気象庁は15日、都道府県単位での予報を28日に始めると発表した。現在は全国を11地方に分割して線状降水帯の発生が予測される半日前に発表しており、今後は対象地域をさらに絞り込んだ予報が可能となる。

 線状降水帯は、雨を降らせる積乱雲が次々と発生して長さ50~300キロ程度の帯状に並び、同じ場所で数時間にわたって大雨が降り続く現象。300人以上が犠牲となった2018年7月の西日本豪雨などで発生が確認され、気象庁は21年から線状降水帯の発生を発表するようになった。

 22年からは、半日から6時間前までに発生を予測できるようになり、東海や近畿など11地方単位の「半日前予報」を発表してきた。

 新しい予測技術では、スーパーコンピューターの計算能力の向上などで局地的な予報が可能に。28日からは、43府県は府県単位で、北海道、東京、鹿児島、沖縄の4都道県についてはさらに地域を分割して予報を出す。

 予測精度の向上により、半日前の発生が予測できない「見逃し」の減少も期待される。気象庁によると、23年の線状降水帯の発生は23回(地方単位)で、そのうち「見逃し」は14回あった。新しい予測技術に当てはめると、都道府県単位での見逃しは2回に1回程度に減る見込みという。

 気象庁は、29年には市町村単位での予報の導入を目指す。担当者は「線状降水帯が発生しなくても大雨となる可能性はある。呼びかけが行われた際は災害への心構えを一段と高めてほしい」と話している。【木原真希】

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